日銀の市場介入とは何か?
外国為替市場において、為替相場が急激(過度)に変動した場合、市場介入が行われることがあります。
昨今、多くの先進国では、何らかの危機の場合を除き、市場介入はほとんど実施していません。一方で、日本も、2011年11月29日以降、市場介入は実施していませんが、市場介入への積極的なスタンスは変わっていません。
ここでは、日銀の市場介入について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
外国為替市場への介入について
市場介入は、「為替介入」とも呼ばれ、中央銀行や財務省などの通貨当局が、為替相場に影響を与えることを目的に、外国為替市場で通貨を売ったり買ったりすることをいいます。これには、「協調介入」と「委託介入」と「単独介入」の3つがあります。
実際の効果:協調介入>委託介入>単独介入
一般に外国為替市場において、市場介入が行われた場合、為替レートは大きく変動しますが、一方で実際の介入効果については、中長期の視点で捉えた方がよいとのことです。
|協調介入
協調介入は、複数の国の通貨当局が同一の通貨を買い支えるなど、共通の目的を持って、それぞれ協調して、外国為替市場で同時に為替介入を行うことをいいます。
|委託介入
委託介入は、自国の通貨当局が海外の通貨当局に対して、為替介入の実施を委託することをいいます。
|単独介入
単独介入は、自国通貨の為替相場の急激な変動を抑えるために、一国の通貨当局が単独で為替介入を行うことをいいます。
日銀の市場介入の実施について
日本では、円相場の安定を実現するために、外国為替平衡操作(市場介入)は、財務大臣の権限において実施されます。この場合、日本銀行は財務大臣の代理人として、財務大臣の指示に基づいて市場介入の実務を遂行します。
・東京市場:ドル/円について介入
・東京市場以外:各市場を管轄する中央銀行に頼んで委託介入
|日本の介入スタンス
外国為替市場の歴史の中で、日本は、他の先進国に比べて、為替の市場介入に非常に積極的です。その理由として、日本は輸出立国のため、急激な円高進行が産業界に大きな影響を与えることが挙げられます。
過去に実施された、日銀の市場介入は、ほとんどが単独介入で、行き過ぎた円高や行き過ぎた円安に対して、為替レートを当局が考える水準に是正することが目的となっています。
|日銀の市場介入の方法
日銀の市場介入には、2つのルートがあります。
・直接介入:インターバンク市場で有力銀行と直取引
・間接介入:インターバンク市場でブローカー経由で取引
|日銀の市場介入のタイプ
日銀の市場介入には、公表する場合と公表しない場合があります。
・通常介入:介入を公表して実施
・覆面介入:介入を公表しないで隠密裏に実施
|日銀の介入資金の調達と運用
日銀の市場介入は、すべて政府の「外国為替資金特別会計(外為特会)」を通して行われます。
・ドル買い円売り:国庫短期証券(T-Bill)を発行
・ドル売り円買い:外為特会が保有するドル資金を売却