劣後債

読み方: れつごさい
英語名: Subordinated bond
分類: 債券区分

劣後債は、他の債券と比べて、元利金(元本と利息)の弁済順位が低い債券のことをいいます。これは、メザニンファイナンスと証券化商品の二つで使われる用語で、元利金の弁済順位が後になるという意味では同じですが、一方で債券の位置づけでは異なっています。

ここでは、債券の分類の一つである「劣後債」について、簡単にまとめてみました。

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メザニンファイナンスの劣後債

劣後債は、「劣後社債」とも呼ばれ、劣後特約の付いた、通常の債権よりも債務の弁済順位が劣る(低い)債券のことをいいます。これは、破産や会社更生法手続開始などの劣後事由が発生した場合、一般無担保社債や優先社債などの債務の支払いが先に行われ、その弁済が完了した後に残余財産から支払われるという仕組みで、通常、債務不履行のリスクが大きい分、利回りは相対的に高く設定されます。

一般に劣後債は、劣後ローン永久債などと同様、バランスシート(貸借対照表)上では「負債(借入)」と「資本(出資)」の間に位置し、メザニンファイナンスの手法の一つとなっています。なお、メザニンファイナンスとは、ローンや普通社債等による「デットファイナンス」と、株式等による「エクイティファイナンス」の中間に位置するファイナンス手法をいいます。

企業と金融機関が発行する劣後債

劣後債は、仕組みは基本的に同じですが、その発行先により、企業が発行する劣後債と金融機関が発行する劣後債があります。

●企業が発行する劣後債

会社清算時などに残余財産の弁済順位が優先される一般無担保社債と弁済順位が最も低い株式との中間的な性格を持っている。

●金融機関の発行する劣後債

一定の制限のもと、自己資本比率の規制上において資本として計上することができるため、資本増強策として利用されることもある。

期限付劣後債と永久劣後債

劣後債は、償還期限(満期)の有無により、「期限付劣後債」と「永久劣後債」の二つがあります。また、その仕組み面では、発行体が債券を満期前に償還することができる「繰上償還条項(コール条項)」が付されているものと付されていないものとがありますが、通常は繰上償還条項が付されているのが一般的です。

●法的弁済順位

普通社債(高)> 期限付劣後債 > 永久劣後債 > 株式(低)

●利回り(期待リターン)

永久劣後債(高)> 期限付劣後債 > 普通社債(低)

●価格変動リスク

株式(高)> 永久劣後債 > 期限付劣後債 > 普通社債(低)

証券化商品の劣後債

劣後債は、「ジュニア債」とも呼ばれ、証券化商品の債券をリスク度合いで三つに分類した場合に、最も高リスク(低格付)の債券のことをいいます。

現在、社債担保証券(CBO)ローン担保証券(CLO)などの証券化商品は、リスク度合いが異なるいくつかの階層(トランシェ)に分けて発行されることがあり、そのうち、最も安全な部分(低リスクなもの)を「優先債(シニア債)」、中間的な部分(中リスクなもの)を「メザニン債」、最もリスクの高い部分(高リスクなもの)を「劣後債(ジュニア債)」と呼んでいます。

通常、劣後債は、ハイリスク・ハイリターンのため、元利金の支払いが優先的に受けられない(債務の弁済順位が劣る)一方で、運用の利回りは高くなります。また、格付け(信用力)の高さは、優先債>メザニン債>劣後債の順ですが、利回りの高さはその逆であり、運用(投資)の際には、投資家は自身のリスク許容度に応じて選択することになります。