劣後ローン

読み方: れつごろーん
英語名: Subordinated Loan
分類: 融資

劣後ローン(劣後特約付ローン)は、「ハイブリッドローン」とも呼ばれ、元利金の返済順位が他の債権より低い、無担保の貸出債権(ローン)のことをいいます。これは、バランスシート(貸借対照表)上では「負債(借入)」と「資本(出資)」の間に位置し、メザニンファイナンスの手法の一つとなっています。

ここでは、資本性が強い借入金である「劣後ローン」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

劣後ローンの特色

劣後ローンは、借り手(債務者)の企業や金融機関などが経営破綻または解散した際に、元利金の返済が他の債務よりも後になるローン(金銭消費貸借)であり、また株式(無議決権優先株)に近い性質があるため、債務者にとっては自己資本に近い性格を持ちます。

一方で、貸し手(債権者)にとっては、返済順位が通常の債権より低く、万一の時に回収できないリスクが大きい反面、金利は通常の債権より高めに設定してあります。

劣後ローンの導入と普及

劣後ローンは、日本においては、BIS規制(自己資本比率規制)をクリアできるようにするために、1990年に導入が認められ、当初は金融機関の財務体質の強化策として活用されました。

銀行や保険会社、証券会社などでは、劣後ローンが自己資本規制比率上の自己資本の一部とみなされたことから、バブル崩壊後の金融危機や経営難の際には、多くの金融機関で用いられました。(銀行への公的資金投入の際にも、一部、劣後ローンの方式で資本注入が行われた)

その後、時代の変化の中で、銀行等の金融機関が従来より取り組んできた「シニアファイナンス」より運用リスクが高い「メザニンファイナンス」にも取り組みようになり、メザニンファイナンスの手法の一つである「劣後ローン」が企業向けにも行われるようになりました。

※メザニンファイナンス:ローンや普通社債等による「デットファイナンス」と、株式等による「エクイティファイナンス」の中間に位置するファイナンス手法。

劣後ローンの活用(企業向け)

劣後ローンは、企業が破綻した場合などに銀行等の金融機関が債権回収できる順番が通常の融資と比べて劣後するローンをいいます。これは、企業にとっては、資本増強に近い借入であり、またバランスシート上では、負債(借入)と資本(出資)の間に位置します。

現在、金融機関は、一定の要件を満たす劣後ローンについては、自己査定上、資本的劣後ローンとして、資本と同等にみなすことができるため、デット・デット・スワップ(DDS)によって、既存の融資を劣後ローンに切り替える金融支援策でも活用しています。

◎金融機関にとっては、通常の融資と比べて回収リスクが高いため、その分、金利も高く設定する。

◎上場企業等の場合、劣後ローンによる資金調達は資本の増強に近い性格を持つため、格付機関からの評価を高めることができる。また、新たに株式を発行することなく資本を増強できるため、株式の希薄化を避けられる。

◎中小企業等の場合、政府系金融機関などから劣後ローンで資金調達をすると、民間金融機関から見た企業の財務の健全性が高まり、通常の融資を受けやすくなる。

劣後ローンと永久劣後ローンの違い

劣後ローンと永久劣後ローンは、どちらも債権回収できる順番が通常の融資と比べて劣後するローンという点では同じです。一方で、劣後ローンが期限の定めがあるのに対して、永久劣後ローンは期限の定めがなく、借入者(債務者)にとっては、自己資本により近い性格を持ちます。

なお、劣後ローンは、期限前弁済条項有と期限前弁済条項無のタイプがありますが、永久劣後ローンは、通常、期限前弁済条項有のタイプとなっています。

劣後ローンと劣後債と劣後株の違い

ファイナンス手法において、「劣後」が付くものとして、劣後ローンと劣後債と劣後株があり、それぞれの違いは以下のようになっています。

|劣後ローン|
メザニンファイナンスの一つで、元利金の返済順位が他の債権より低い、無担保の貸出債権(ローン)。債務者は、利払い負担が通常のローンより大きい一方で、自己資本に近い性格を持つ。

劣後債
メザニンファイナンスの一つで、一般の債権と比較して弁済順位が劣る(元利金の支払いが他の債権者よりも後になる)債券。債務者は、利払い負担が通常の債券より大きい一方で、自己資本に近い性格を持つ。

劣後株
種類株式の一種で、普通株式よりも、配当や残余財産分配権などが制限されている株式。基本的に引き受け側にはメリットがないため、通常は、経営者や経営陣などに対して発行される。