アセットアロケーション(資産配分)

英語: Asset allocation
分類: 運用計画

アセットアロケーション(Asset allocation)は、日本語で「資産配分」とも呼ばれ、投資資金を複数の異なった資産に配分して運用することをいいます。これは、投資の基本的な考え方の一つで、収益性の異なる資産に分散して投資することにより、運用リスクの低減を図ると共に、安定したリータンの確保を目指すものとなっています。

ここでは、資産運用において、大きな鍵となる「アセットアロケーション」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

アセットアロケーションの基本概念

アセットアロケーションとは、投資資金を複数の異なった資産(アセット)に配分(アロケーション)して運用することをいいます。

具体的には、リスクを回避しつつ、より安定した高いリターンを獲得することを目的に、各種資産(アセットクラス)をどのような割合で投資すべきかを決定する一連のプロセスを指します。

<主なポイント>

・投資目標を達成する上で、ポートフォリオの構築・運用において基本となるものである。
・個別の銘柄選定より全体の資産配分の方が、トータル・パフォーマンスに占める寄与度が高いと言われる。
・基本的な考え方として、互いに相関性の低いアセットクラスを組み合わせて、ポートフォリオ全体の変動幅の緩和を図る。
・マーケットのグローバル化が進む中で、昨今では、アセットクラス間の相関性が安定的でなくなってきていることに注意する。

アセットアロケーションとアセットクラス

アセットアロケーションは、異なる様々な「アセットクラス」への投資を通じて、ポートフォリオにおけるリスクとリターンのバランスをとるプロセスをいいます。また、アセットクラスは、大きく分けて、「伝統的アセットクラス」と「代替アセットクラス」の二つに分類されます。

|伝統的アセットクラス

伝統的アセットクラスには、債券、株式、現金等価資産があります。

・債券:国内債券、外国債券
・株式:国内株式、外国債券
・現金等価資産:現金、預金、短期金融資産

|代替アセットクラス

代替アセットクラスは、「オルタナティブアセットクラス」とも呼ばれ、現在、明確な定義はありませんが、例えば、以下のようなものが挙げられます。

・コモディティ
・外国通貨
・不動産(REIT含む)
・証券化商品
・デリバティブ
・ベンチャーキャピタル
・プライベートエクイティ
・ヘッジファンド
・インフラファンド 他

アセットアロケーションの実践

アセットアロケーションは、投資プロセスの中で、パフォーマンスへの影響度が非常に高く、また運用資金の特性を勘案したリスク許容度を反映させる段階としても重要であることから、投資の意思決定プロセスの根幹をなす作業となっています。

通常、運用資金の資産配分を行うにあたっては、各資産のリスクとリターン、投資環境、マーケットの動向等だけでなく、各資産毎の相関関係、運用目的、資産状況など、様々なことを考慮して決定する必要があります。

|個人投資家の場合

個人投資家がアセットアロケーションを行うにあたっては、各人において、資産状況やリスク許容度、投資目的、年齢、ライフプランなどによって、適切な資産配分が異なるので注意が必要です。

一般にアセットアロケーションは、自分自身で行うことが多いですが、金融機関のファンドラップラップ口座などの投資一任契約を利用すると、運用の専門家がヒアリングを行って提案をしてくれます。また、昨今では、資産運用のアドバイスや補助をしてくれるサービスである「ロボアドバイザー」も活用することができます。

|GPIFの場合

私たちの老後の年金資金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」も、長期的な観点から、安全かつ効率的な運用を行うためにアセットアロケーションを実施しており、基本ポートフォリオで資産構成割合を定めています。

長い間、GPIFでは、国内債券の運用の割合が高い「安全運用」が主体でしたが、2014年10月に基本ポートフォリオを大きく変更して「積極運用」に転じ、さらに2020年4月に海外運用にも傾斜しました(従来 → 2014年 → 2020年)。

<GPIFの基本ポートフォリオ>

・国内債券:60% → 35% → 25%
・国内株式:12% → 25% → 25%
・外国債券:11% → 15% → 25%
・外国株式:12% → 25% → 25%
・短期資産:5% → 0% → 0%

アセットアロケーションの管理

運用会社や機関投資家などの投資の専門家(プロ)は、通常、「戦略的アセットアロケーション」と「戦術的アセットアロケーション」の二つを組み合わせることによって、ポートフォリオの長期的な方向性を定めると共に、短期的な市場動向にも対応しています。

|戦略的アセットアロケーション

戦略的アセットアロケーションは、中長期にわたる資産配分の基準となる政策アセットミックスを決定する手法で、通常、投資目的、リスク許容度、投資期間の3つの重要な要因に基づいて決められます。

また、市場は絶えず変化しているため、ポートフォリオの資産配分は定期的に調整する必要があるほか、時間の経過と共に見直すことも必要です。

|戦術的アセットアロケーション

戦術的アセットアロケーションは、短期的に一定の投資尺度(ルール)に基づいて資産配分の比率を適宜変更する手法であり、また短期的な投資機会を利用し、戦略的アセットアロケーションの方向性を補完するものです。

具体的には、マクロ経済のファンダメンタルズ、投資対象の割安感、市場の動きなどを適宜判断して、特定のアセットクラスの割合を増やしたり減らしたりする「アクティブ運用」の手法を用います。

|ダイナミック・アセットアロケーション

ダイナミック・アセットアロケーションは、短期のアセットアロケーション戦略の一つで、マーケットの均衡を前提に、保有する資産価格の変動に応じて、一定の基準のもとで機動的に資産配分の比率を変更する手法をいいます。

ちなみに、この手法を使った投資信託に「ダイナミック・アロケーション・ファンド」があります。

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