年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)

読み方: ねんきんつみたてきんかんりうんようどくりつぎょうせいほうじん
英語: Government Pension Investment Fund
分類: 年金行政

GPIFは、"Government Pension Investment Fund"の略で、「年金積立金管理運用独立行政法人」のことをいいます。

厚生労働省が所管する、厚生年金と国民年金の管理運用業務を行う独立行政法人で、現在、運用資産額が世界最大の年金基金となっており、またその存在感から「市場のクジラ」とも呼ばれています(第2位はノルウェーの政府年金基金)。

ここでは、私たちの老後の年金資金を運用する「GPIF」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

GPIFの概要

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2004年に制定された年金積立金管理運用独立行政法人法(根拠法)により、前身の「年金資金運用基金」を改組し、2006年4月に設立された独立行政法人です。

現在、厚生労働省が主管し、年金給付の財源として、年金運用で得た収益を国庫に納めています。

|根拠法第3条(管理運用法人の目的)

年金積立金管理運用独立行政法人は、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づき、厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的とする。

|GPIFの沿革(組織の変遷等)

・1961年11月:「年金福祉事業団」を設立
・1986年04月:財政投融資借入による年金資金の運用を開始
・2001年04月:「年金資金運用基金」を設立、厚生労働大臣から寄託された年金資金の運用を開始
・2006年04月:年金積立金の管理・運用業務を担う機関として「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」を設立

GPIFの主な役割と業務内容

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、年金積立金管理運用独立行政法人法等の規定に基づき、現在、以下のような役割と業務を担っています。

|GPIFの主な役割

<ポートフォリオに基づく運用>
分散投資を基本とし、長期的な観点からの債券・株式等による資産構成割合(ポートフォリオ)を定め、これを適切に管理する。

<年金給付のための流動性の確保>
年金財政の見通し及び収支状況を踏まえ、年金給付等に必要な流動性(現金等)を確保すると共に、効率的な現金管理を行う。

|GPIFの主な業務内容

<業務方針の策定>
・管理目標(ベンチマーク)の決定
・運用手法の決定

<運用受託機関の選定と入替>
・運用受託機関の公募・審査・選定
・運用状況の評価
・運用受託機関の入替

<運用受託機関の管理>
・運用目標や運用手法等の指示
・運用状況の報告聴取

GPIFの年金資金の運用

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、年金積立金の管理及び運用に関する具体的な方針を定めた「管理運用方針」を策定し、信託銀行や投資顧問会社などへ運用委託を行っています。

現在、GPIFの運用資産額は、年金基金として世界最大であり、また基本ポートフォリオ(資産構成割合)は、国内債券(25%)、国内株式(25%)、外国債券(25%)、外国株式(25%)となっており、資産別に乖離許容幅も設定しています。

なお、最新の運用状況(運用実績、資産構成割合)などは、GPIFのウェブサイトで公表されています。

|GPIFの運用の考え方

GPIFでは、年金積立金の運用を以下のような考え方で行っています。

・年金事業の運営の安定に資するよう、専ら被保険者の利益のため、長期的な観点から、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保する。
・株式や債券などの資産を長期にわたって持ち続ける「長期運用」によって、安定的な収益を得ることを目指す。
・性質や値動きの異なる複数の資産に分散して運用することにより、安定的な運用成果を目指す。

|GPIFの具体的な運用方法

GPIFの具体的な運用方法については、年金積立金管理運用独立行政法人法等に規定があり、以下が認められています。

・運用機関に委託する場合(委託運用)は、信託銀行や投資顧問会社と投資一任契約を締結すること。
・自ら運用する場合(自家運用)は、国債、社債等の債券や投資信託の売買を行うこと(株式を自ら売買することは認められていない)。

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