相続税とは:相続にかかる税金

通常、亡くなった人の財産は、その人が生前に所得税等を納めた後の納税済みの財産です。

その納税済みの財産に対して、配偶者(妻、夫)や子などに移転したというだけで、また税金(相続税)が課されるのはなぜでしょうか? これについては、様々な考え方がありますが、社会的に冨の集中を調整し、特定の人に冨が集中するのを防ぐためというのが一般的な概念となっています。

ここでは、相続税の概要について、簡単にまとめてみました。

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相続税の仕組みについて

相続税は、人の死亡により、その亡くなった人の財産を引き継いだ時、引き継いだ人にかかる税金です。これは、相続や遺贈、死因贈与により、財産を取得した相続人などに課される国税で、その課税・徴収の方法は、「相続税法」という法律で定められています。

一般に相続税は、流通税の性格も有していますが、今日では、財産税の一種と考えられています。

|相続税の意義

相続は、故人から財産を無償でもらうことになるため、一種の不労所得といえます。こうした所得に何の税金もかからないとすると、国民の間の資産格差はどんどん広がり、社会的な不平等が拡大してしまいます。

そこで、一定額以上の財産を相続した人からは、その一部を税金として累進税率で課税・徴収し、社会に還元するようになっています。

|相続税の課税

相続税は、相続や遺贈によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算)が基礎控除額を超える場合に、その超える部分(課税遺産総額)に対して課税されます。

|相続税の納税義務者

一定額以上の財産を相続し、相続税を納める義務が生じた人を「相続税の納税義務者」と言い、「無制限納税義務者」と「制限納税義務者」に分けられます。

|無制限納税義務者|
国内に住所のある人で、相続した財産が国内・国外のどこにあるかにかかわりなく、もらった財産の全てが課税対象となる。

|制限納税義務者|
国内に住所が無い人で、相続した財産のうち、国内にある財産のみが課税対象となる。

|相続税の申告・納税

相続税法によると、相続により財産を取得した人で、遺産の合計額が基礎控除の金額を超える場合には、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、故人の住所地の所轄税務署へ相続税の申告書を提出し、納税しなければなりません。

◎相続人が複数いる場合は「共同相続」となり、通常、相続人全員が一つの申告書に連署して提出する。ただし、相続で「争族」になるケースもあるため、各相続人が個別に申告することもできる。

◎申告期限の10カ月というのは、同時に納付期限でもあるため、これに遅れないように申告・納付を行う必要がある。

相続税の計算方法について

日本では、相続税がかかってくるのは、一部の人と言われていますが、実際はそうでもありません。

多額の生命保険に入っていたり、多額の退職金を受け取っていたり、長年の資産運用で財産を殖やしていたり、あるいは路線価の高い地域に不動産を持っていたりすると、故人(親や兄弟姉妹等)について資産家だと思ったことがなくても、相続税がかかってくることがあります。

以下では、相続税の計算方法について、概略的に説明したいと思います。

|第1段階-課税価格の計算

最初に相続財産を全てリストアップし、そこに「みなし相続財産」をプラスし、非課税財産をマイナスします。そして、これらの財産を時価評価して、「課税価格」を計算します。

◎みなし相続財産とは、民法上の遺産ではないが、相続税法上では、相続財産として課税対象に含めるもので、受け取った生命保険金や死亡退職金の一部がこれに当たる。

◎財産の性質上、または社会政策上、相続税の対象にならないものがある。例えば、弔慰金は、業務上の事故等での死亡では普通給与の36カ月分まで非課税、それ以外の死亡では普通給与の6カ月分までが非課税となっている。

|第2段階-正味財産の計算

課税価格から、債務と葬式費用を控除して、「正味相続財産額」を計算します。この際に、相続開始前3年以内の贈与財産を加算して計算します。

◎通夜・火葬・納骨の費用や戒名料、読経料は、葬式費用となるが、初七日・三五日忌・四九日忌の法要費用、香典返しは葬式費用にはならない。

◎遭難や行方不明などの場合は、捜索費用等が葬式費用として認められる。

|第3段階-課税される遺産の総額を計算

正味相続財産額から、「基礎控除額」を差し引き、「課税される遺産の総額」を求めます。また、基礎控除の金額は、「3000万円+600万円×法定相続人数」で計算されます。

課税される遺産の総額=正味相続財産額-基礎控除額

|第4段階-相続税の総額の計算

第3段階での「課税される遺産の総額」を民法上の法定相続人が法定相続分に応じて相続したと仮定して、各相続人の相続財産を求め、これに対して、税率表(速算表)を使って、各人の相続税額を計算し、「相続税の総額」を求めます。

|第5段階-各人の負担する税額の計算

算出した相続税の総額に各人の実際の遺産取得割合を乗じて、相続税額を按分計算します。これにより、各人は相続した財産に応じて税金を負担することになります。

|第6段階-納付税額の計算

配偶者に対する軽減、未成年者控除、障害者控除、贈与税額控除、相次相続控除等の税額控除などの最終計算を行い、実際の納付税額を計算します。その際に、被相続人の兄弟、代襲相続人ではない被相続人の孫、全くの第三者などが、相続・遺贈により財産を取得した場合は、20%の税額加算となります。

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