トラッキングエラー
英語: | Tracking error(TE) |
---|---|
分類: | 評価尺度 |
トラッキングエラー(Tracking error)は、「アクティブリスク」とも呼ばれ、資産運用において、リスクを測定する尺度の一つで、「ポートフォリオのリターン」と「ベンチマークのリターン」との乖離の大きさを示す指標をいいます。
具体的には、目標とするベンチマークの収益率と運用するポートフォリオの収益率との差(超過収益率)の標準偏差を取った値で、その計算方法には、実績の収益率から計算する「実績トラッキングエラー」とモデルを用いて推定する「推定トラッキングエラー」があります。
目次:コンテンツ構成
トラッキングエラーの意味
トラッキングエラーが大きい(乖離が大きい)ほど、運用するポートフォリオがベンチマークに対して、リスクを大きく取っていることを意味します。
また、超過収益率がどれくらいバラつくのかという指標であり、数値は必ずプラスとなるので、大勝ちし続けても、大負けし続けても、トラッキングエラーは大きくなります。
投資信託のトラッキングエラー
トラッキングエラーは、投資信託(ファンド)においては、運用成果を評価する尺度としても使われています。
この場合、リターンの誤差はベーシスポイント(1%の100分の1)で表示され、その数値が大きいほど、ファンドのリターンがベンチマークから乖離していることを意味します。
パッシブファンドのトラッキングエラー
ベンチマーク(指数)に連動することを目指す「パッシブファンド」では、推定されるトラッキングエラーを極力小さくするように運用が行われます。また、運用実績の定量評価において、実績値のトラッキングエラーが小さいほど優れた運用と評価されます(通常、偶然の一致以外ではゼロにならない)。
<パッシブ運用のトラッキングエラー>
月次超過リターンの二乗の平均値の平方根(RMSE:Root Mean Square Error)を年率換算したもの。
1年トラッキングエラー
=直近12カ月の「月次超過リターン」の二乗の平均値の平方根(RMSE)
アクティブファンドのトラッキングエラー
ベンチマーク(指数)を上回ることを目指す「アクティブファンド」では、コスト面もかさむので、少なくとも3%以上のトラッキングエラーがあることが望ましいとされます。また、トラッキングエラーは、「インフォメーション・レシオ(超過収益獲得の効率性を示す数値)」の導出の際にも用いられます。
<アクテイブ運用のトラッキングエラー>
月次超過リターンの年率標準偏差。
1年トラッキングエラー
=直近12カ月の「月次超過リターン」の標準偏差