金銭信託

金銭信託は、金銭信託財産として引受け、信託期間の終了時に、運用利益と元本を金銭で委託者に交付することを約した信託をいいます。これは、個人や法人が信託銀行等に金銭を信託し、信託銀行等がその金銭を管理・運用するものであり、また他の信託商品のベースとなることも多く、例えば、教育資金贈与信託や結婚・子育て支援信託、遺言代用信託などで活用されています。

ここでは、身近な金融商品の一つである「金銭信託」について、その概要を簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

信託の中での金銭信託の位置づけ

信託は、大きく分けて、信託財産が金銭である「金銭の信託」と、信託財産が金銭以外の信託である「モノの信託」とに分類されます。また、前者の「金銭の信託」については、信託終了時に信託財産の交付を金銭で行う「金銭信託」と、信託終了時に信託財産を現状有姿のまま交付する「金外信託(金銭信託以外の金銭の信託)」とに分類されます。

一般に「金銭の信託」は、「金銭信託」と「金外信託」の総称であり、元々は行政上の用語ですが、契約書等でも「金銭の信託」と「金銭信託」とは区別して使用されるのが通例です。

金銭の信託
├金銭信託:特定金銭信託、指定金銭信託
└金外信託:特定金外信託、指定金外信託

金銭信託の定義と分類

金銭信託とは、個人や法人の「委託者」が、信託銀行等の「受託者」に金銭を信託し、信託銀行等の「受託者」がその金銭を管理したり、利殖の目的で貸付金や有価証券、預金などで運用したりする信託をいいます。これには、運用の目的物を具体的に特定する「特定金銭信託」と、運用の目的物の種類を大まかに指示する「指定金銭信託」とがあります。また、指定金銭信託の運用方法による分類には、信託された財産を合同して運用する「合同運用」と、単独で運用する「単独運用」とがあります。

<金銭信託の分類>

●特定金銭信託

特定金銭信託、投資信託、確定拠出年金信託 他

●指定金銭信託

|合同運用|

合同運用指定金銭信託、教育資金贈与信託、結婚・子育て支援信託、財産形成信託、特定寄付信託、後見制度支援信託 他

|単独運用|

年金信託、公益信託、特定贈与信託、確定給付企業年金信託 他

※「特定金銭信託」と「指定金銭信託」の他に、「無指定金銭信託」というものもあるが、無指定金銭信託は、厳しい法的規制のため、現実には妙味がなく、契約はほとんどない。

合同運用指定金銭信託の仕組みと代表的な商品

合同運用指定金銭信託は、指定金銭信託の中で、「合同運用(まとめて運用)」するものをいいます。現在、信託銀行等の中核商品となっており、代表的な商品には、「合同運用指定金銭信託(一般口)」と「実績配当型金銭信託」とがあります。

基本的な仕組み

合同運用指定金銭信託の基本的な仕組みは、以下のようになっています。また、取引(信託)するにあたっては、信託銀行等が定める信託約款に運用の範囲が記載されており、この約款に基づき契約することにより、運用方法が指定されることになります。

(1)個人や法人の「委託者兼受益者」は、信託銀行等の「受託者」と信託契約を締結し、金銭を信託する。

(2)信託銀行等の「受託者」は、委託者から信託された金銭を、他の委託者から信託された金銭と合同して、貸付金や有価証券、預金などで運用する。

(3)信託銀行等の「受託者」は、運用によって発生した収益をもとに受益者に配当(利益)を交付する。

<予定配当率について>

金銭信託の利率(配当率)は、実際の運用後でなくては分からないが、運用前に予測・発表される「予定配当率」は、配当率の目安を示すものとなっている(その配当率が保証されるものではない)。

合同運用指定金銭信託(一般口)

合同運用指定金銭信託(一般口)は、金銭を信託財産として信託銀行等に預け、その金銭を信託銀行等が約款に指定された運用範囲内で合同して運用し、委託者(受益者)の収益は信託金額に応じて支払われる信託商品です。また、運用の対象範囲は、貸付金や公社債、株式、預金などとされています。

実績配当型金銭信託

実績配当型金銭信託は、合同運用指定金銭信託の一種で、運用実績に応じて、委託者(受益者)に収益金が支払われる信託商品です。また、運用の対象範囲は、信託銀行等によって異なります。

合同運用指定金銭信託(一般口)と実績配当型金銭信託の違い

合同運用指定金銭信託(一般口)と実績配当型金銭信託は、どちらも合同運用指定金銭信託ですが、一方で以下のような大きな違いがあります。

指定する運用方法の違い

◎合同運用指定金銭信託(一般口)は、安定的に収益を確保することを目的とした運用範囲とされており、信託銀行等で違いはない。

◎実績配当型金銭信託は、安定性に加えて、収益性をより重視した運用範囲とされており、信託銀行等でそれぞれ異なる。例えば、従来型の有価証券の他に、住宅ローン貸付金やクレジット債権、リース料債権などを裏付けとした信託受益権などで運用するところもある。

元本補てんの有無の違い

◎合同運用指定金銭信託(一般口)は、信託の終了の時に元本に損失が生じた場合には、信託銀行等が元本補てんすることが契約に付されている。

◎実績配当型金銭信託は、信託終了の時に元本に損失が生じている場合の元本補てんは契約に付されていない。

合同運用指定金銭信託(一般口)の基本事項

合同運用指定金銭信託(一般口)は、信託銀行等が顧客から受け入れた多数の信託金を約款に指定された運用範囲で合同運用し、その収益を信託金額に応じて分配するものです。これは、どこの信託銀行等でも共通した商品内容となっており、通常、据置型の場合は、契約時から1年以上であれば、満期日が自由に設定できます。なお、元本については、信託銀行等が保証しています。

取扱機関 信託銀行
リターン 収益金(配当金)
リスク 信用リスク(金融機関の倒産)
関連マーケット 長期金融市場
預入金額 5,000円以上1円単位
預入期間 各形態により異なる
-据置方式:1年以上で満期日自由設定
-積立方式:最後の積立から2年据置必要
金利種類 予定配当率(変動金利)
-3月と9月の年2回変更
利払い 3月と9月の決算日(各25日)の翌日に支払い
-半年毎受取 or 元金組入(複利運用)
換金性 中途解約可能、解約手数料かかる
税金 源泉分離課税
保護制度 預金保険制度の対象