コロナショック(コロナ危機)

英語: Corona crisis
分類: 複合危機

コロナショックは、「コロナ危機」とも呼ばれ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行したことにより起こった、グローバルな疾病面と経済面の複合危機をいいます。

疾病面では、「100年に1度の感染症クライシス」と言われ、全人類に甚大な人的被害を及ぼす一方で、経済面では、世界的に経済活動が制限されるなど甚大な経済損失を及ぼし、2008年のリーマンショックとは危機の内容が大きく異なります。

ここでは、コロナショックの概要について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

新型コロナウイルスとは何か?

新型コロナウイルスとは、2019年11月に中華人民共和国の武漢市付近で発生が初めて確認されたもので、人に感染する「コロナウイルス(7種類)」の一つです。

このウイルスは、ヒトに対して病原性があり、感染症(新型肺炎)の「急性呼吸器疾患(COVID-19)」を引き起こし、2020年2月11日に国際ウイルス分類委員会(ICTV) が「SARS-CoV2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)」と命名しました。

新型コロナウイルスのパンデミック

新型コロナウイルスは、2019年12月に中国の武漢市で原因不明の肺炎患者が初めて報告され、2020年1月に原因が新種のコロナウイルスと特定され、1月の半ば頃から武漢を中心に中国で感染が拡大しました。

当初は、中国だけの問題と軽視されていましたが、それが緩やかに世界各国に伝播し、2020年3月に入ってから欧州や米国などで急速に感染が広がり、ついにパンデミック(世界的大流行)となりました。

世界の感染状況の推移

・2019/12/08:中国の武漢で原因不明の肺炎患者が報告
・2019/12/31:中国からWHOへ最初の報告
・2020/01/07:新種のコロナウイルスを確認
・2020/01/09:中国で最初の死者が発生
・2020/01/20:中国でヒト-ヒト感染の確認を発表
・2020/01/23:中国の武漢市が感染拡大で封鎖
・2020/01/31:WHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言
・2020/02/01:全世界の感染者が1万人を突破
・2020/02/11:中国本土で感染者が42,000人を突破、全世界で死亡者が1000人を突破
・2020/02/13:全世界で感染者が5万人を突破
・2020/03/07:全世界で感染者が10万人を突破
・2020/03/08:全世界で感染確認された国・地域が100に到達
・2020/03/11:WHOがパンデミック(世界的な大流行)とみなせると表明
・2020/03/20:全世界で死亡者が1万人を突破
・2020/03/27:全世界で感染者が50万人を突破
・2020/04/02:全世界で感染者が100万人を突破
・2020/04/10:全世界で死亡者が10万人を突破
・2020/05/21:全世界で感染者が500万人を突破
・2020/06/28:全世界で感染者が1000万人を突破
・2020/06/29:全世界で死亡者が50万人を突破
・2020/08/30:全世界で感染者が2500万人を突破
・2020/09/28:全世界で死亡者が100万人を突破
・2020/11/08:全世界で感染者が5000万人を突破
・2021/01/27:全世界で感染者が1億人を突破
・2021/02/26:全世界で死亡者が250万人を突破
・2021/08/05:全世界で感染者が2億人を突破
・2021/11/01:全世界で死亡者が500万人を突破
・2022/01/07:全世界で感染者が3億人を突破
・2022/02/09:全世界で感染者が4億人を突破
・2022/04/12:全世界で感染者が5億人を突破

日本の感染状況の推移

・2020/01/16:日本で中国人感染者を確認
・2020/01/30:日本国内の感染者が10人を突破、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置
・2020/02/05:ダイヤモンドプリンセス船内で感染者を確認
・2020/02/13:日本で最初の死亡者が発生
・2020/02/21:日本国内の感染者が100人を突破
・2020/02/27:安倍首相が日本全国の学校に休校要請
・2020/03/10:日本政府は感染拡大を歴史的緊急事態に指定
・2020/03/21:日本国内の感染者が1000人を突破
・2020/04/07:日本国内の感染者が5000人を突破、緊急事態宣言を発令
・2020/04/18:日本国内の感染者が1万人を突破
・2020/05/02:日本国内の死亡者が500人を突破
・2020/05/25:日本政府が緊急事態宣言を解除
・2020/07/28:日本国内の死亡者が1000人を突破
・2020/08/11:日本国内の感染者が5万人を突破
・2020/10/30:日本国内の感染者が10万人を突破
・2020/11/24:日本国内の死亡者が2000人を突破
・2020/12/22:日本国内の死亡者が3000人を突破
・2021/01/05:日本国内の感染者が25万人を突破
・2021/01/07:日本政府が緊急事態宣言を発令
・2021/01/09:日本国内の死亡者が4000人を突破
・2021/01/23:日本国内の死亡者が5000人を突破
・2021/02/03:日本国内の死亡者が6000人を突破
・2021/02/15:日本国内の死亡者が7000人を突破
・2021/03/02:日本国内の死亡者が8000人を突破
・2021/03/22:日本政府が緊急事態宣言を解除
・2021/03/26:日本国内の死亡者が9000人を突破
・2021/04/10:日本国内の感染者が50万人を突破
・2021/04/25:日本政府が緊急事態宣言を発令
・2021/04/26:日本国内の死亡者が10,000人を突破
・2021/07/14:日本国内の死亡者が15,000人を突破
・2021/08/06:日本国内の感染者が100万人を突破
・2021/09/01:日本国内の感染者が150万人を突破
・2021/10/01:日本政府が緊急事態宣言を解除
・2022/01/20:日本国内の感染者が200万人を突破
・2022/02/03:日本国内の感染者が300万人を突破
・2022/02/11:日本国内の死亡者が20,000人を突破
・2022/02/15:日本国内の感染者が400万人を突破
・2022/02/28:日本国内の感染者が500万人を突破
・2022/05/05:日本国内の感染者が800万人を突破
・2022/05/13:日本国内の死亡者が30,000人を突破

米国の感染状況の推移

・2020/03/27:米国が感染者数(10万人超)で世界最多に
・2020/04/06:米国の死亡者が1万人を突破
・2020/04/11:米国の感染者が50万人を突破
・2020/04/27:米国の死亡者が5万人を突破
・2020/04/28:米国の感染者が100万人を突破
・2020/05/27:米国の死亡者が10万人を突破
・2020/08/08:米国の感染者が500万人を突破
・2020/11/27:米国の死亡者が25万人を突破
・2020/11/07:米国の感染者が1000万人を突破
・2021/01/01:米国の感染者が2000万人を突破
・2021/02/22:米国の死亡者が50万人を突破
・2021/03/24:米国の感染者が3000万人を突破
・2021/09/07:米国の感染者が4000万人を突破
・2022/12/13:米国の感染者が5000万人を突破

欧州の感染状況の推移

・2020/02/29:イタリアで感染者が1000人を突破
・2020/03/19:イタリアが死亡者数で世界最多になる
・2020/03/25:スペインが死亡者数でイタリアに次ぐ
・2020/03/30:イタリアの感染者が10万人を突破
・2020/04/01:スペインの感染者が10万人を突破
・2020/04/08:ドイツの感染者が10万人を突破
・2020/04/14:フランスの感染者が10万人を突破
・2020/04/16:英国の感染者が10万人を突破
・2020/10/21:スペインの感染者が100万人を突破
・2020/10/22:フランスの感染者が100万人を突破
・2020/10/31:英国の感染者が100万人を突破
・2020/11/11:イタリアの感染者が100万人を突破
・2020/11/27:ドイツの感染者が100万人を突破
・2021/01/26:英国の死亡者が10万人を突破
・2021/03/08:イタリアの死亡者が10万人を突破
・2021/04/09:フランスの感染者が500万人を突破
・2021/04/15:フランスの死亡者が10万人を突破
・2021/07/08:英国の感染者が500万人を突破
・2021/11/14:ドイツの感染者が500万人を突破
・2021/11/25:英国の感染者が1000万人を突破

その他の地域の感染状況の推移

・2020/04/23:トルコの感染者が10万人を突破
・2020/04/30:ロシアの感染者が10万人を突破
・2020/05/04:ブラジルの感染者が10万人を突破
・2020/05/19:インドの感染者が10万人を突破
・2020/06/20:ブラジルの感染者が100万人を突破
・2020/07/17:インドの感染者が100万人を突破
・2020/09/01:ロシアの感染者が100万人を突破
・2020/09/16:インドの感染者が500万人を突破
・2020/10/07:ブラジルの感染者が500万人を突破
・2020/11/14:メキシコの感染者が100万人を突破
・2020/12/19:インドの感染者が1000万人を突破
・2021/01/26:インドネシアの感染者が100万人を突破
・2021/02/29:ブラジルの感染者が1000万人を突破
・2021/05/04:インドの感染者が2000万人を突破
・2021/06/15:アフリカの感染者が500万人を突破
・2021/06/23:インドの感染者が3000万人を突破
・2021/08/04:ブラジルの感染者が2000万人を突破
・2022/03/23:韓国の感染者が1000万人を突破

新型コロナウイルスによる世界的な株価大変動

2020年は、前年に引き続き、世界的に株価が堅調に推移するとの予測が多く、新型コロナウイルス(新型肺炎)がブラックスワンとなって、世界的な株価大暴落を引き起こすとは誰も考えませんでした。

実際、1月下旬に中国が武漢市を封鎖し、2月半ばに日本がダイヤモンドプリンセスの検疫であたふたしていた頃は、世界の株価は絶好調で、世界の多くの人は、新型肺炎がパンデミックになるとは思いもしませんでした。また、WHOさえも当時、その深刻性を認識しておらず、過小評価していました。

そのような楽観的な雰囲気の中、2月半ば頃から新型肺炎の感染拡大が少しずつ意識されだされ、2月24日にイタリアの感染拡大でダウ平均が突然、1000ドルを超える値下がりとなり、世界的な株価大暴落の号砲となりました。その後、約1カ月間、市場は恐怖に覆われ、3月23日にダウ平均が当面の下値(18,591.93)をつけるまで下落が続きました。

コロナショックとコロナバブル(ダウ平均株価)

米国の大統領選でトランプ氏の勝利が決まった2016年11月8日には18,300ドル台にすぎなかったダウ平均が、3年余りで驚異的な上昇を遂げ、2020年2月12日には史上最高値の29,551.42(終値)をつけ、3万ドル台の射程圏内に入っていました。それが、わずか1カ月で1万ドル超の大暴落をして、トランプ相場は終わり、世界経済は大きく変わりました。

そして、普通であれば、リーマンショックの時のように、経済悪化による相場低迷が続くはずでしたが、世界的な超金融緩和で過剰流動性(金余り)が発生し、2020年4月以降、いいとこ取りの「コロナバブル」が発生し、株式市場は空前の上昇を遂げ、未だに続いています。

2020年2月の推移(暴落開始)

・2020/02/03:中国の株価指数が暴落(2015年のチャイナショック以来の下げ)
・2020/02/12:ダウ平均が史上最高値29,551.42(終値)を更新
・2020/02/24:ダウ平均がイタリアの感染拡大で、1031.61ドル(-3.56%)暴落
・2020/02/25:日経平均が781.33円(-3.34%)暴落
・2020/02/27:ダウ平均が新型肺炎の拡大懸念で、1190.95ドル(-4.42%)暴落

2020年3月の推移(大暴落)

・2020/03/09:原油急落と新型肺炎の懸念で世界的な株価暴落(日経平均が-5.07%、FTSE100が-7.69%、DAXが-7.94%、CAC40が-8.39%、ダウ平均が-7.79%)
・2020/03/12:米国の欧州からの入国禁止措置で世界的な株価大暴落(FTSEが-10.87%、DAXが-12.24%、CAC40が-12.28%、ダウ平均が-9.99%)
・2020/03/13:前日の流れを引き継ぎ、日経平均が暴落(-6.08%)
・2020/03/16:新型肺炎による景気後退懸念の拡大で、米国のダウ平均がブラックマンデー(1987年)以来の大暴落(-2997.10ドル、-12.9%)
・2020/03/18:VIX指数が一時85.47、ダウ平均は-6.30%の暴落
・2020/03/19:日経平均が16,552.83(終値)で当面の下値
・2020/03/23:ダウ平均が18,591.93(終値)で当面の下値

※2020年3月は、基軸通貨の米ドルを確保する動きが広がり、外国為替市場で米ドルが名目実効レートで34年ぶりの高値を付けた。

コロナショックとコロナバブル(日経平均株価)

2020年4月移行の推移(バブル進行中)

・2020/04/30:日経平均が20,193.69(終値)、2万円台回復
・2020/05/21:ダウ平均が25,013.29(終値)、節目突破
・2020/11/11:日経平均が25,349.60(終値)、29年ぶり
・2020/11/24:ダウ平均が30,046.24(終値)、史上初
・2021/02/15:日経平均が30,084.15(終値)、30年半ぶり
・2021/07/23:ダウ平均が35,061.55(終値)、史上初

コロナショックの政策対応

コロナショックは、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の感染者の指数関数的な増加により、全人類への甚大な人的被害が発生すると共に、世界各国で短期間で経済(景気)が大きく悪化し、リーマンショックを超えました。

このような状況に対処するためには、従来の金融・経済危機とは異なり、「感染症対策(ウイルス対策)」と「金融・経済対策」の二つを同時に行う必要がありました。

◎コロナショックの収束のカギは「治療薬」と「ワクチン」で、その開発・製造は時間との戦いとなり、さらに感染が世界的に急増する中、ゆとりある国からの医療支援も重要となる。

→ 2021年にワクチンは開発・普及。

◎金融・経済面では、世界的な信用収縮を防ぐために、潤沢な米ドルが供給され、また各国とも大規模な金融緩和を実施しており、世界的に過剰流動性の状態となった。

→ 現在、コロナバブルが継続する一方、インフレも進行中。

日本の政策対応

日本は、政府内に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置していますが、首相(政治)主導の政策対応が行われる傾向があります。また、実際の地域対応は、各自治体が主体となっています。

・ワクチンの接種(G7でNo1達成)
・検査の絞り込みとクラスター対策
・学校の一斉休校
・大規模イベントの自粛要請
・首都圏で外出の自粛要請
・中小企業の資金繰り支援
・Go To 施策(日本全国)
・緊急経済対策(家計と企業の支援)
・日銀の資金供給拡大、量的緩和拡大
・入出国制限 他

中国の政策対応

中国は、世界で最初に新型コロナウイルスに見舞われた国で、ウイルス対策では、中央政府の主導のもと、中国疾病管理予防センターが中心となって行っています。

・国家主体の強権的な対応
・武漢閉鎖(都市閉鎖)
・検査の徹底、感染者の管理
・一部地域の企業の操業停止
・財政出動の拡大
・入出国制限
・ワクチンの接種 他

米国の政策対応

米国は、国全体の政策対応は大統領府が行っていますが、各州の政策対応は州政府が行っています。また、感染症対策は、疾病対策センター(CDC)が中心となって行っています。

・ワクチンの接種
・非常事態宣言(国家、一部の州)
・検査の拡充
・学校休校(一部の地域)
・移動制限(一部の地域)
・病院船の派遣(一部の地域)
・大型経済対策(家計と企業の支援)
・FRBの資金供給拡大、ゼロ金利、量的緩和
・入出国制限 他

欧州の政策対応

欧州は、国よって政策対応が異なりますが、大半の国では、日本と異なり、多くの検査を実施し、感染者数の把握を行っています。また、ドイツなど政策対応が機能している国がある一方で、政策対応の遅れや医療施設の問題から一部の国で医療崩壊が起り、多数の死者を出しました。

・ワクチンの接種
・非常事態宣言(一部の国)
・検査の拡充
・学校の一斉休校(一部の国)
・都市封鎖(一部の国)
・国境封鎖(一部の国)
・移動制限(一部の国)
・ECB等の資金供給拡大、量的緩和拡大
・柔軟な財政対応による経済対策
・入出国制限 他

iFinancial TV