フォワード・ガイダンス

英語: Forward Guidance
分類: 金融政策・調節

フォワード・ガイダンス(Forward Guidance)は、中央銀行が将来の金融政策の方向性を説明する指針をいいます。これは、マーケット(市場)との対話術と言えるもので、政策をめぐる誤解を避け、体系だった政策の先行きや将来の対応を明示し、その効果を高めるためのものとなっています。

具体的には、声明等を通じて、政策金利を据え置く期間を示唆したり、将来の政策変更の条件を設けたりするなど、市場参加者の予想や期待に働きかけ、政策が市場金利に及ぼす影響を強めるのが狙いとされます。また、実施している政策の透明性を高めて、市場の過度な動揺を避ける効果も意図しています。

目次:コンテンツ構成

フォワード・ガイダンスの導入

フォワード・ガイダンスは、元々は、日本銀行が1990年代に口火を切ったもので、1999年にゼロ金利政策を導入した際にゼロ金利の継続条件を明示し、当時、日本では「時間軸政策」とも呼ばれました。

その後、2000年代後半の世界金融危機による景気悪化で、米国のFRB(米連邦準備理事会)が失業率の一定水準回復まで事実上のゼロ金利政策を表明したり、また2010年代前半の欧州債務危機による景気悪化で、欧州のECB(欧州中央銀行)やBOE(イングランド銀行)などでも市場対話手法として使われました。

そして、今日では、先進国の中央銀行が「非伝統的政策」の手段の一つとして導入しています。

フォワード・ガイダンスの指針と見直し

フォワード・ガイダンスでは、緩和継続期間について、「相当な期間」など抽象的な表現を用いるもの、「○○年終盤まで」など具体的な時期を明示するもの、また重要な経済指標に条件を付けるものなどがあります。

一般に本ガイダンスは、金融政策の方向性を説明する指針として効果的に活用される一方で、現実の経済情勢が指針にそぐわなくなった場合、指針の見直しを迫られ、マーケットをかえって混乱させる側面(デメリット)もあります。

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