固定相場制

読み方: こていそうばせい
英語: Fixed Exchange Rate System
分類: 通貨制度

固定相場制は、「固定為替相場制」とも呼ばれ、為替相場(為替レート)の変動を固定もしくは極小幅に限定する制度をいいます。これは、外国為替市場を監督する通貨当局が為替レートの変動幅を狭い範囲に制限するもので、現在、一部の新興国や途上国で採用されています。

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固定相場制の種類

固定相場制とは、為替レートを一定の範囲内に固定する制度で、その種類には、ドルペック制のように一国のみの通貨と連動させる「単一通貨固定制」と、複数の通貨レートの平均値と自国通貨を連動させる「通貨バスケット制」があります。

また、その他に、自国の通貨供給量を外貨準備高以下に抑えることで、自国通貨が特定の外貨とほぼ一定のレートで交換できるようにした「カレンシーボード制」もあります。

固定相場制のメリットとデメリット

固定相場制では、自国の通貨を貿易面で結びつきの深い国(米国等)の通貨に連動させる場合が多く、それにより為替相場の変動に振り回されることを少なくして輸出競争力を確保し、貿易を円滑に行うことができます。

その半面、固定相場制によるレート維持のため、連動させる通貨の国に金融政策も追随しなくてはならないという問題点があります。

固定相場制のメリット

・為替相場が安定し、短期的に貿易環境が安定する。
・輸入物価の安定を通じて、インフレ変動を抑えられる。
・為替リスク低減に伴う資本流入の促進が見込める。

固定相場制のデメリット

・自由な資本移動と金融政策の自由度が両立しない。
・長期的に見るとレートが適正値から乖離する。

固定相場制の採用

現在、先進国では、国内経済の動向に応じて機動的に金融政策を行う必要性が高く、固定相場制は不向きとなっており、変動相場制を採用しています。また、新興国では、通貨危機等で固定相場制を維持できなくなって、変動相場制に移行した国もあります。

一方で、経済規模の小さな国(新興国、途上国)では、自国の経済成長が海外経済の動向に左右されやすく、自国から見て経済的な影響力の大きな国の通貨に対する固定相場制の選択が合理的なことが多いです。

その昔、日本においては、1949年から1971年まで、ブレトンウッズ体制で「1ドル=360円」に固定し、IMFが予め設定した平価の上下1%以内に維持する固定相場制をとっていましたが、1971年のニクソンショックにより本体制が崩壊し、変動相場制へと移行しました。

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