PTS

PTSは、"Proprietary Trading System"の略で、日本語では「私設取引システム」とも呼ばれ、証券会社が証券取引所を通さず、株式等の売買を成立させる取引システムの総称をいいます。

日本版ビッグバンの一環として、1998年12月の証券取引法(現・金融商品取引法)の改正で「取引所集中義務」が撤廃され、上場銘柄の取引所外取引が認められたことで認可業務としてPTSの運営が可能となったもので、現在、日本においては、「ジャパンネクストPTS」と「Cboe PTS」の二つが運営されています。

元々は、米国において、「電子証券取引ネットワーク(ECN:Electronic Communications Network)」と呼ばれる私設取引システムが1960年代から広がったもので、昨今では、先駆者の米国では、その取引高が市場内で大きなシェアを占めるようになっています。

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PTSの基本事項

PTSは、「電子情報処理システムを使用して、同時に多数の顧客を相手に有価証券の売買又はその媒介等を行うもの」というのが基本的な定義で、その開設には金融庁の認可が必要です(法律面では、金融商品取引法で規定)。また、PTSの取引時間や取扱銘柄などについては、基本的に開設する証券会社(金融商品取引業者)が決めています。

<PTSの売買価格の決定方法>

・競売買の方法(売買高が一定の基準を超えない場合)
・取引所が公表する売買価格を用いる方法
・顧客の間の交渉に基づく価格を用いる方法
・顧客の提示した指値が、取引相手方となる他の顧客の提示した指値と一致する場合に、当該顧客の提示した指値を用いる方法(オークション方式)
・証券会社が同一の銘柄に対し、自己または他の証券会社等の複数の売付けおよび買付けの気配を提示し、当該複数の売付けおよび買付けの気配に基づく価格を用いる方法(マーケットメイク方式) 他

ジャパンネクストPTSの概要

ジャパンネクストPTS(Japannext PTS)は、ジャパンネクスト証券が2007年から運営する日本最大のPTSで、30社超の証券会社がメンバーとして参加し、その顧客(取引参加者)が日々売買を行っています。

開設以来、業界最先端のテクノロジー、顧客中心のサービス、リーズナブルな料金体系で幅広い支持を得て、現在、「株式PTS」と「信用PTS」と「日本国債PTS」の3つから構成され、その中でも「株式PTS」は、日本で唯一、日中取引(デイタイム・セッション)と夜間取引(ナイトタイム・セッション)を提供しています。

Cboe PTSの概要

Cboe PTSは、Cboe Global Marketsの一員であるCboeジャパン(旧・チャイエックス・ジャパン)が運営する日本株PTSです。

2021年に「チャイエックスPTS(Chi-X)」を運営するチャイエックス・ジャパン(Chi-X Asia Pacific Holdings limitedの子会社)が、親会社を含めて、Cboe Global Marketsに買収されて名称変更されたもので、現在、以下の3つの市場を運営しています。

●Alpha and Select

取引所の売買立会時間内外に、指値注文の継続対当をするマーケットで、Alpha市場(Cboe Alpha)は国内外の機関投資家等を対象とし、またSelect市場(Cboe Select)は国内の個人投資家を対象としている。

●Match(Cboe Match)

東京証券取引所の出来高加重平均価格(VWAP)での取引を希望する証券会社および投資家に資するマーケット。

●Kai-X(Cboe Kai-X)

マーケットインパクトの回避ニーズを持つ大口取引へのソリューションを提供するマーケット。

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