ドバイ原油
読み方: | どばいげんゆ |
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英語: | Dubai Crude |
分類: | 原油 |
ドバイ原油(Dubai Crude)は、アラブ首長国連邦(UAE)の7首長国の1つ「ドバイ(Dubai)」で産出される原油をいいます。これは、重質高硫黄の性状で、他の中東産原油と異なり、ほぼ全量が定期契約に基づかないスポット市場で取引されるため、原油市場において、価格の指標性が高いです。
ここでは、アジア市場の原油価格の指標となっている「ドバイ原油」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
ドバイ原油の位置づけ
ドバイ原油は、UAEのドバイで産出される原油で、ほぼ全量がスポット市場で取引されるため、オマーン原油と共に、アジア市場において、中東産の原油価格の指標(マーカー原油)とされています。
現在、世界の原油取引は、消費地ごとに、北米、欧州、アジアといった三大市場が形成されており、それぞれの地域の需給を反映した独自の価格形成がなされ、アジアでは「ドバイ原油」がマーカー原油となっています(北米はWTI、欧州は北海ブレントが指標)。
ドバイ原油の値決め
ドバイ原油は、S&Pグローバル・プラッツ(プラッツ社)が運営する「プラッツ・ウインドー」と呼ばれるシステム上で取引され、参加者(トレーダー)は買値と売値を提示し、トレーダー間の相対取引(OTC)で価格が決まります。また、プラッツ社は、実際に成立した売買の価格を調査し、日々の価格を算定します。
長年、中東産油国は、日本を含めたアジア向けの原油価格を「ドバイ原油とオマーン原油」のスポット価格の平均を基準に決めることが多いです。
ドバイ原油の取引対象
ドバイ原油は、自由な取引が可能で、スポット市場で価格指標の地位を確立していますが、一方で生産量は、日量10万バレルを下回ります。
このような状況の中、プラッツ社は、市場の流動性を維持するため、ドバイ原油の他に、オマーン産の「オマーン」、UAEのアブダビ産の「アッパーザクム」と「マーバン」、カタール産の「アルシャヒーン」の4油種も引き渡し(値決め)の対象としています。
ドバイ原油とWTI原油の違い
原油は、天然資源のため、その質により価格が大きく異なります。通常、世界の原油市場では、ガソリンや灯油が多く抽出できる軽質油で硫黄分の少ない「WTI」が高値で取引される傾向があるのに対して、重質油で硫黄分の多い「ドバイ原油」はWTIより安値で取引される傾向があります。
※WTI:米国のテキサス州西部とニューメキシコ州南東部で産出する原油。
ドバイ原油の先物取引(日本)
現在、東京商品取引所(TOCOM)において、ドバイ原油の先物が「プラッツドバイ原油(Platts Dubai Crude Oil)」という商品名で上場され、取引が行われています。
プラッツドバイ原油の先物取引は、ドバイ原油の価格を指標とする中東産原油を対象とし、また現金決済先物取引を採用していることから、取引の最終期限までポジションを保有していた場合には、全て金銭の授受によって取引が終了します。