債権譲渡

読み方: さいけんじょうと
分類: 債権・債務

債権譲渡は、債権者の意思によって、債権の同一性を変えずに、従来の債権者から第三者に契約によって債権を移転することをいいます。これは、債権が一旦消滅せずに同一性を維持する点において、更改とは区別され、また債権の移転要因としては、売買や贈与、代物弁済譲渡担保信託などがあります。

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債権譲渡の成立と対抗要件

債権譲渡は、債権者(譲渡人)と譲受人との間の契約によって成立し、通常、債務者の意思関与を必要としませんが、一方で債務者に対する対抗要件として、指名債権の譲渡の場合は、債務者に対する通知またはその者の承諾が必要となり、また無記名債権の場合は、交付が必要となります。

また、債務者以外の第三者に対して譲渡を対抗するためには、前記の対抗要件が確定日付の証書(内容証明郵便や公正証書など)によってなされることが必要となります。

債権譲渡の民法の条文

債権譲渡に関する民法の条文には、以下のようなものがあります。

第466条(債権の譲渡性)

1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2.前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)

1.指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2.前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

債権譲渡登記制度の概要

債権譲渡登記制度は、法人がする金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定について、簡便に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度をいいます。これは、日本において、債権流動化をはじめとする法人の資金調達手段の多様化の状況に鑑み、法人が金銭債権の譲渡などをする場合の簡便な対抗要件制度として、1998年10月から実施されているものです。

<主なポイント>

・譲渡人は、法人のみに限定されている。
・譲渡に係る債権は、指名債権であって金銭の支払を目的とするものに限定されている。
・債権譲渡登記ファイルに記録することにより、当該債権の債務者以外の第三者について、民法第467条の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなされ、第三者対抗要件が具備される。
・債権譲渡登記がされた場合、譲渡人もしくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、または債務者が承諾をした時は、債務者についても確定日付のある証書による通知があったものとみなされ、対抗要件が具備される。

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