クレジットサイクル

英語: Credit cycle
分類: 与信

クレジットサイクルは、「信用サイクル」とも呼ばれ、デフォルト(債務不履行)の上昇が一定の周期で発生するという現象をいいます。これは、企業や家計などの借入状況(信用面)の浮き沈みが循環することを示すもので、一般的には、拡大・後退・修復・回復の4つの局面を繰り返すとされます。

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クレジットサイクルの各ステージ

クレジットサイクルは、全般的な経済状況に応じて、「拡大期」、「後退期」、「修復期」、「回復期」の4つの異なる局面(ステージ)から成ると考えられています。また、セクターや国・地域によって、そのステージが異なることも認識しておく必要があります。以下は、企業のクレジットサイクルのイメージです。

拡大期(expansion)

比較的緩い貸出基準、借入可能額の増加、レバレッジ指標の上昇などを伴い、バランスシートが拡大する。

後退期(downturn)

業績の停滞・悪化により、適正水準以上に拡大した金融債務への対応に苦慮し、また貸出基準は厳格化され、借入コストは上昇する。資本バッファーが減少する中、企業によっては手元流動性が減少し、債務不履行に陥り、デフォルト率が上昇する。

修復期(repair)

資産の売却や事業規模の適正化を図り、またコスト削減などに注力し、財務基盤を安定させることにより、ファンダメンタルズの悪化に歯止めをかける。

回復期(recovery)

財務レバレッジは低下し、フリーキャッシュフローが増え始め、利益率が上昇する。

クレジットサイクルの経験則

マーケットが急落すれば、誰もが不安になりますが、クレジットサイクルを理解しておけば、より大局的な観点から現状を分析することができます。また、どのようなリスクを取るべきか、あるいは避けるべきかといった投資判断を行う一助にもなります。

米国のクレジットサイクル

米国においては、1980年代後半以降、クレジットサイクルの後退期(1989-1990、1999-2002、2007-2008)は、3回あった。いずれの時もFRBの過度の金融引き締めか市場バブルの崩壊、またはその両方が関わっていた。そして、後退期には、それぞれ景気悪化を伴い、その期間にデフォルト率は急上昇した。

世界のクレジットサイクル

世界においては、1990年頃の南米危機や米国S&L危機、2000年代初頭のITバブル崩壊、2000年代後半のサブプライムショックと、概ね10年前後の周期でデフォルトの上昇とこれに伴う金融危機が勃発した。

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