リスク

英語: Risk
分類: リスクとリターン

リスク(Risk)は、国語辞書では、危険や危険度、結果を予測できない度合い、予想通りにいかない可能性などをいいます。

世の中において、人間の生命や健康、環境、資産運用、保険、経営などを対象に広く使われる用語で、「何らかの危険や不確実の生じる可能性」といった基本的意味は共通していますが、それぞれの分野で定義が異なっています。

ここでは、金融分野(資産運用と保険)における「リスク」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

資産運用におけるリスク

リスクは、資産運用(投資)においては、将来のリターンの不確実性(変動性)のことをいいます。これは、結果(損益)が不確実であることを意味し、"損失"と"利益"の両方の可能性を含みます。また、損益の変動幅が小さければ「リスクが低い」、一方で損益の変動幅が大きければ「リスクが高い」と言います。

一般にローリスクでハイリターンの投資商品は世の中に存在せず、「絶対確実で凄く儲かる」といった投資話は大抵怪しいと考えた方がよいでしょう。

リスクオン
リスクの高い資産に資金を振り向けること。

リスクオフ
リスクの低い(相対的に安全な)資産に資金を移すこと。

リスクテイク
リスクを承知で高いリターンを狙った取引を行うこと。

保険におけるリスク

リスクは、保険においては、万一の事態(事故)や損害を受ける可能性(危険)のことをいいます。これは、生命保険に関しては、死亡、病気・ケガ、就業不能、介護、老後などが挙げられ、また損害保険に関しては、偶然の事故、災害、賠償責任などが挙げられます。

一般に保険は、将来起こる可能性のあるリスクに対し、予測される発生の確率に見合った一定の保険料を加入者が公平に分担し、万一の保険事故に対して備える「相互扶助の精神」から生まれた助け合いの制度となっています。

|リスク・コントロール|
損害の発生を回避・予防・防護するための活動を行うこと。

|リスク・ファイナンシング|
損害の発生を予想して、損害額を補てんすること。

リスクの種類について

リスクには、様々な種類があり、以下では、「資産運用に関わるリスク」、「外部環境に関わるリスク」、「金融機関が注視するリスク」に分けて、各々のリスクを整理してみました。

資産運用に関わるリスク

価格変動リスク
投資対象の価格が変動することによるリスク。

市場リスク
マーケットリスク」とも呼ばれ、市場価格の変動により、保有資産の評価額が常に変動するリスク。

為替変動リスク
「為替リスク」とも呼ばれ、為替相場の変動の影響によるリスク(為替差損を被るリスク)。

金利変動リスク
金利の変動によって、資産や負債の価値が変動するリスク。

流動性リスク
「リクイディティリスク」とも呼ばれ、何らかの要因により流動性の問題が発生した場合に、市場での取引が困難になることによって生じるリスク。

ダウンサイドリスク
株式や債券などの保有資産が損失を受けるリスク。

システマティックリスク
「市場関連リスク」や「分散不能リスク」とも呼ばれ、分散投資を行っても消去しきれないリスク。

アンシステマティックリスク
「個別リスク」や「分散可能リスク」とも呼ばれ、分散投資によって消去可能なリスク。

ベーシスリスク
非常に連動性の高い二つの金融商品の間に乖離が生じることにより、損益が変動するリスク。

元本リスク
証券や代金を元本ごと取りはぐれてしまうリスク。

期限前償還リスク
期限前償還によって、事前に見込まれた(期限まで保有していた場合に得られた)収益と実際の収益に差が発生するリスク。

持たざるリスク
想定外の上昇相場において、株式などを買わないことによって発生するリスク。

外部環境に関わるリスク

カントリーリスク
ソブリンリスク」とも呼ばれ、政治や経済、社会などの見地による国の信用面でのリスク。

地政学リスク
ある特定地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりが、地球上の地理的な位置関係により、その特定(関連)地域の経済、あるいは世界経済全体の先行きを不透明にするリスク。

インフレーションリスク
「インフレリスク」とも呼ばれ、世の中のモノやサービスの価格(物価)が上昇することによって、貨幣(お金)の実質的価値が低減するリスク。

イベントリスク
事前に予期できない出来事によって引き起こされる混乱のリスク。

テールリスク
「ブラックスワン・イベント」とも呼ばれ、市場において、ほとんど起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスク。

金融機関が注視するリスク

信用リスク
クレジットリスク」や「デフォルトリスク」、「債務不履行リスク」とも呼ばれ、ビジネスや金融などの与信取引において、債務者の財務状態が悪化することによって、債権の回収ができない状態に陥るリスク。

決済リスク
取引の約定後、何らかの事情で決済が予定通り行われないことにより問題が生じるリスク。

システミックリスク
ある所で発生した決済不能が次々と広がって、世の中に大混乱を及ぼすリスク。

カウンターパーティリスク
取引の相手方(カウンターパーティ)が破綻するなどして、契約が履行されずに損失を被るリスク。

オペレーショナルリスク
オペリスク」とも呼ばれ、全ての企業に存在する、通常の業務活動(オペレーション)に係るリスク。

リーガルリスク
法的リスク」とも呼ばれ、法律または法的紛争を原因として、企業が損失を負うリスク。

レピュテーションリスク
企業などの組織に対する否定的な評判に起因するリスク。

コミングリングリスク
債権が混合されることによって発生するリスク。