トランプ・ショック

英語: Donald Trump's shock
分類: 出来事(ショック)

トランプ・ショックは、2016年11月9日(日本時間)に起こった米大統領選の予想外の結果による政治的衝撃、および世界のマーケットの大混乱をいいます。

共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏が多くの予想を覆して、民主党候補のヒラリー・クリントン氏を破り、大統領選に勝利したことに起因するもので、開票結果がトランプ氏有利と伝わると、世界の株式市場や外国為替市場などに激震が走りました。

当時、世界に激震が走った背景として、選挙期間中に過激な発言を繰り返した政治家経験のない異端候補であるトランプ氏が想定外に当選したことで、第二次世界大戦後の長い間、超大国として経済・外交面で世界に君臨してきた米国の進路がかつてなく見通せなくなったこと(不確実性が大きく高まったこと)が挙げられます。

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トランプ氏の当選要因

ドナルド・トランプ氏が多くの予想を覆して勝利したのは、米国内の人種や所得階層間の対立をあおり、人々の怒りを支持につなげる手法が奏功したと言われます。

その中でも、既存の状況に大きな不満を抱く白人労働者層に的を絞った戦略が得票に結びついたほか、最終盤でのクリントン氏の私用メール問題の再燃も追い風となりました。

トランプ・ショックの市場混乱

開票時にオープンしていた世界の株式市場は大幅に下落し、その中でも東京株式市場は、日経平均株価の下げ幅が一時1000円を超え、東証1部で97%の銘柄が下げる全面安となりました。

一方で、外国為替市場では、ドル/円は1日で4円超動くなど大荒れし、他の通貨も大きく動きました(米国と関係性の深い隣国通貨のメキシコペソは史上最安値を更新した)。

そして、当選確定後の米国株式市場は、未知なる期待感からか大幅に上昇しました。

実際、トランプ氏の当選後から就任後まで、しばらくの間、新政権の掲げる減税や財政出動などの政策期待感から、米国の株式相場は上昇基調(トランプ・ラリー)になり、それに伴って、日本をはじめとした世界の株式相場も上昇しました。

なお、トランプ氏は、2020年の大統領選で再選はなりませんでしたが、就任中の景気や株式相場は概ね好調な一方で、国内外で様々な分断や混乱を招き、異端の大統領として歴史に名を残しました。

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