リバーサル・レート理論

読み方: りばーさるれーとりろん
英語名: Reversal rate theory
分類: 理論

リバーサル・レート理論は、金融緩和政策の導入により金利がある一定水準を下回ると、かえって金融緩和効果が反転し、副作用が生じてしまうという理論をいいます。これは、米国のプリンストン大学教授のマーカス・ブルネルマイアー氏(Markus K. Brunnermeier)が2016年に提唱したもので、本来、経済の活性化を図るための金融緩和が、マイナス金利など金利を過度に下げすぎると、金融機関の預貸金の利鞘が縮小して経営に悪影響を及ぼし、融資など金融仲介機能を低下させるという考え方です。

ちなみに、本理論は、日本においては、2017年11月に日銀総裁の黒田東彦氏がスイスのチューリヒ大学での講演の中で言及し、広く知られるようになりました。

リバーサル・レート理論の概要

リバーサル・レート理論は、簡単に言えば、過度な利下げは逆効果(経済にマイナス)という考え方であり、以下のようなメカニズムとなっています。

◎政策金利が下がれば、金融機関には保有債券の含み益が生じ、本来は積極的に融資ができるようになる。

◎一方で、政策金利が下がり過ぎて、融資で採算が取れないようになれば、金融機関は逆に貸出金利を引き上げたり、貸出量を絞ったりして金融を引き締めるようになる。

◎金融緩和より金融引き締めの力が上回って、金融政策が逆効果になってしまう金利水準が「リバーサル・レート」である。

リバーサル・レートの認識

リバーサル・レート(Reversal rate)とは、政策金利の下げ過ぎで金融仲介機能が阻害される、転換点となる金利水準をいいます。これは、日本や欧州など金融緩和を長く実施し、昨今では、経済面で副作用が懸念されるなど限界に近づくなか、各国の中央銀行が注目しています。

なお、リバーサル・レートは、以下のように、どの段階の指標を使うかによって、その水準が変わってきます。

◎収益環境が厳しくなった金融機関が預貸金利鞘を広げるために貸出金利を引き上げる段階。

◎融資業務で採算が合わなくなって、金融機関が貸出自体を縮小する段階。

◎実体経済や物価などにプラスの効果が表れなくなった段階。