ストレステスト

英語名: Stress Test
分類: リスク管理

ストレステスト(Stress Test)は、ある対象に大きな負荷(ストレス)がかかる状況を想定し、安全性や耐久性などを維持できるかどうかを調べる手法をいいます。元々は、電気・機械製品の品質管理に使われてきた用語ですが、昨今では、金融や建築、医学、コンピュータ(ハードウェア、ソフトウェア)、原子力発電所などの分野でも広く使われています。

ここでは、金融機関における「ストレステスト」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

金融機関のストレステストの背景

過去を振り返って見ると、10年や20年に一度など、時として金融市場では、ブラックマンデーアジア通貨危機リーマンショックコロナショックなど、通常の市場環境下では考えられないような大幅な価格変動(クラッシュ)が起こることがあります。また、世界有数の地震大国である日本の場合、1990年代以降、阪神・淡路大震災や東日本大震災などが起こっており、大災害によるリスクも常にあります。

このような背景(経緯)により、現在、銀行等の金融機関においては、ストレステストは、「資産運用(マーケットのリスク管理)」と「経営管理(金融機関の健全性検査)」の二つに対して実施されています。

資産運用のストレステスト

ストレステストは、金融機関の資産運用においては、マーケットでの不測の事態が生じた場合に備えて、ディーリングやトレーディングを行う市場部門の損失の程度や損失の回避策を予めシミュレーションしておくリスク管理手法をいいます。

ストレステストの主な目的

日常的に発生確率が低いと考えられるリスクシナリオをいくつか用意すると共に、ヒストリカルデータから異常な環境下のものを抽出し、その発生確率や変動パターンを当該シナリオに当てはめ、現在の市場部門が抱える「潜在的なリスク量」を計測し、不測(最悪)の事態に備えることを主な目的としています。

※潜在的なリスク量:外国為替や債券、株式、デリバティブなどの持ち高(ポジション)の最悪時における損失の程度。

ストレステストのリスク管理

ストレステストは、市場暴落や大規模災害のようなストレス事象を念頭に、所定のリスクシナリオに基づき、外国為替取引や債券取引、デリバティブ取引などを行う市場部門の損失規模を評価(予想)するリスク管理であり、通常、ミドルオフィス等のリスク管理部門が本業務を担当し、経営部門に定期的に報告しています。

経営管理のストレステスト

ストレステストは、銀行等の金融機関の経営管理においては、「資産査定」や「健全性検査」とも呼ばれ、将来的に起こる可能性のある金融システム危機に耐えられる健全資産を金融機関が保有しているかどうかを調べる点検手法をいいます。

ストレステストの具体的内容

世界的な景気悪化や金融危機、マーケットの急変、大規模な自然災害、大規模なシステム障害など様々なシナリオ(大きな負荷=ストレス)がかかる状況を想定し、貸出資産の傷み具合や保有有価証券の価格下落リスクなど金融機関の「健全性(耐久力)」を検証します。

そして、耐久力に疑いが生じる恐れのある金融機関に対しては、金融当局から資本増強等の対応が求められます。

ストレステストの注目と普及

ストレステストは、金融業界において、マーケットのリスク管理に関するものとして以前からありましたが、2009年の世界的な金融危機時に米金融当局が、金融機関の資産の健全性を調べるために、大手19社を対象に実施した検査に「ストレステスト」という名称を使ったことにより世界的に広まりました。また、その後、2010年代の欧州債務危機欧州銀行監督機構がストレステストを実施した際にも世界的に注目されました。

ちなみに、世界的な金融危機時に米金融当局が実施したストレステストは、今後2年間に予想以上に景気が悪化した場合の損失発生状況などを査定し、資本不足額を試算したもので、金融機関の資産内容の透明性を高めると共に資本増強を促し、金融システムを安定化させる狙いがありました。