投資信託と金銭信託の違いは?

投資信託と金銭信託、どちらも「信託」が名称の中に入る金融商品ですが、時代の変遷の中で注目度が大きく変わりました。

資産運用と言えば、貯蓄が中心だった1990年代までは、ヒットスーパーヒットなど信託銀行の「金銭信託」が人気商品の一つでしたが、投資が叫ばれるようになった2000年代以降は、超低金利が続く中、投資信託の注目度が上昇する一方で、金銭信託の注目度は低下しました。

現在、投資信託と金銭信託を比べた場合、圧倒的に投資信託の方が注目度が高いですが、金銭信託も一部の金融機関で運用商品の一つとして販売されています。ここでは、「投資信託」と「金銭信託」の違いについて、簡単にまとめてみました。

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投資信託について

投資信託とは、投資家から集めた資金を専門の機関(運用会社)が運用し、その運用成果を投資家に配分する制度、および組成された金融商品をいいます。

投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が短期金融商品や債券、株式、不動産、コモデティティなどで運用し、その運用成果に応じて収益を分配するもので、現在、その種類には、証券投資信託や不動産投資信託、ETF、ヘッジファンド、ファンド・オブ・ファンズなどがあります。

一般に投資信託は、運用がうまくいけば、大きなリターン(収益)を期待することができますが、一方で運用がうまくいかなければ、元本割れするリスクもあります。

|証券投資信託

株式や債券などの有価証券を主な投資対象とする投資信託(ファンド)。約款に「株式に投資できる」との記載があるか否かで、「株式投資信託」と「公社債投資信託」に分類される。

|ETF(上場投資信託)

"Exchange Traded Funds"の略で、日本語で「上場投資信託」とも呼ばれ、証券取引所に上場し、取引されている投資信託(ファンド)。大きく分けて、「指数連動型上場投資信託」と「指数連動型以外の上場投資信託」の2つがある。

金銭信託について

金銭信託とは、金銭を信託財産として引受け、信託期間の終了時に、運用利益と元本を金銭で委託者に交付することを約した信託をいいます。

個人や法人が信託銀行等に金銭を信託し、信託銀行等がその金銭を運用・管理するもので、現在、合同運用指定金銭信託(一般口)や実績配当型指定金銭信託、指定金銭信託などがあります。

なお、金銭信託は、その仕組みにより、他の信託商品のベースとなることも多く、遺言代用信託や後見制度支援信託など多くの商品に活用されています。

|合同運用指定金銭信託(一般口)

金銭を信託財産として信託銀行等に預け、その金銭を信託銀行等が約款に指定された運用範囲内で合同して運用し、その収益が信託金額に応じて支払われる商品。

|実績配当型指定金銭信託

合同運用指定金銭信託の一種で、予定配当率は明示されているものの、信託期間中の運用実績に応じて、予定配当率に準じた配当を支払う実績配当型となっている商品。

投資信託と金銭信託の違いについて

「投資信託」と「金銭信託」は、どちらも信託の仕組みを使った商品ですが、以下のような違いがあります。

◎投資信託が、投資家から集めた資金を専門の機関(運用会社)が運用し、その運用成果を投資家に配分する商品なのに対して、金銭信託は、個人・法人が信託銀行等に金銭を信託し、信託銀行等がその金銭を運用・管理する商品となっている。

◎投資信託は、運用会社が運用し、信託財産の管理を信託銀行が行っているのに対して、金銭信託は、信託銀行等が運用・管理を行っている。なお、金銭信託の信託財産は、信託銀行等の資産とは別に管理されている。

◎投資信託は、多様な商品(ファンド)が証券会社や銀行、保険会社などで広く販売されているのに対して、金銭信託は、少数の商品が一部の銀行や信託銀行でのみ販売されている。

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