預金封鎖

読み方: よきんふうさ
分類: 預金取引

預金封鎖は、ある一定期間、預金等の金融資産の引き出しを制限または禁止することをいいます。これは、大きく分けて、「金融機関による預金封鎖」と「政府による預金封鎖」の二つがあり、実際に行われた場合、国民生活に大きな影響を及ぼします。

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預金封鎖の種類(金融機関と政府)

預金封鎖は、大きく分けて、「金融機関による預金封鎖」と「政府による預金封鎖」の二つがあります。

◎金融機関による預金封鎖は、銀行や信金、信組、労金、農協などの金融機関に経営危機説が流れた場合、多くの預金者が預金等を引き出そうとして取り付け騒ぎになることがあるため、一時的に預金等の引き出しを制限することをいう。

◎政府による預金封鎖は、国の財政が破綻寸前になった場合、政府において、預金等の国民資産を把握し、その資産に対して税金を掛けて政府収入に充てることにより、破綻から免れようとすることをいう。

なお、政府の破綻(危機)対策では、通貨切替などをした上で、旧通貨を無効にし、旧通貨を金融機関に回収させる方法が取られることがあり、この場合にも「預金封鎖」が行われます。

日本で過去に行われた預金封鎖

1946年2月16日に幣原内閣が戦後のインフレーション対策として「金融緊急措置令」を発表し、その翌日(2月17日)から「預金封鎖」と「新円切替」を同時に実施しました。

その狙いとして、流通している日本銀行券の量を減らし、急激なインフレにストップをかけようとした他に、国民の財産を国に移転し、第二次世界大戦後に莫大に膨らんだ政府債務を削減しようという狙いもありました。

<金融緊急措置令の内容>

・流通している旧円を一定金額に限り新円に切り替える。
・それ以外は金融機関に全て強制的に預金させ、一定金額だけしか新円による引き出しを認めない。
・3月2日までに交換しないと旧円は無効になる。
・10万円を超える資産に対して25%~90%の財産税を課税する。

海外で過去に行われた預金封鎖

1990年代以降、海外では、新興国において、以下のような預金封鎖が行われました。

1990年3月:ブラジル

ハイパーインフレを沈静させるための措置として、フェルナンド・コロール・デ・メロ大統領が発動し、一定額を超える銀行預金の封鎖措置が取られた。結果的には、インフレの沈静化にも失敗し、1994年のレアル導入までハイパーインフレが続くことになった。

2001年12月:アルゼンチン

財政危機に陥り、国債が暴落するなど世の中が混乱する中、アルゼンチン政府は同国内の銀行業務の停止措置を取った。その後も事態は改善せず、ドルペッグ制の破綻をきっかけにデフォルトを宣言した。

2002年7月:ウルグアイ

アルゼンチンの金融危機やブラジルの市場不安の影響を受けて、同国内の銀行の預金流出が止まらず、信用不安が大きく高まる中、ウルグアイ政府は70年ぶりに国内銀行の営業を全面的に停止した。

2013年3月:キプロス

ギリシャ危機により、キプロスの銀行の融資や債券投資に大きな損失が発生し、経営が立ち行かなくなった「キプロス危機」が起こった。キプロス政府は、ユーロ圏からの財政支援との引き換えに預金課税を決定し、国内の全銀行から預金の引き出しを制限する預金封鎖を行った。

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