積立方式

積立方式は、年金制度の財政方式の一つで、将来の年金給付に必要な原資を予め保険料で積み立てていく財政方式をいいます。これは、将来の年金給付に必要な原資を現役時代に予め保険料で積み立て、その積立金と運用収益を原資として、将来、年金支給を行うという仕組みになっています。

目次：コンテンツ構成

• 積立方式の主な特色
• 日本の公的年金制度の財政方式
• 企業年金制度の積立方式

積立方式の主な特色

積立方式では、加入者や受給者の年齢構成が見通し通りに推移する限り、将来的に少子高齢化が進んでも、保険料は特に影響を受けません。その半面、保険料の運用収入を見込んで保険料を決めるため、市場（金利等）の変動など経済的要因の影響を大きく受けます。

なお、積立方式に対して、給付が発生する都度、それに見合う費用を調達する財政方式を「賦課方式」と言います。

日本の公的年金制度の財政方式

現在、日本の公的年金制度は、ある程度の積立金を有し、賦課方式を基本とした財政方式になっています。

かつて（平成時代の前半まで）は、特に問題がありませんでしたが、 昨今では、少子高齢化の急速な進展により、現役世代の保険料負担が増大する一方で受給額が減少するという「世代間の不公平」の問題が深刻化しています。

企業年金制度の積立方式

企業年金制度の積立方式には、大きく分けて、退職時までに給付原資を積み立てる「事前積立方式」と、退職時に給付原資を一括して積み立てる「退職時年金現価積立方式」の二つがあります。

また、事前積立方式には、加入期間中に平準的に給付原資を積み立てる「平準積立方式」、制度発足時および制度加入時に当該加入者の給付原資を一括して積み立てる「加入時年金現価積立方式」、制度発足時に将来加入者分も含めて給付原資を一括して積み立て、その後は拠出を行なわない「即時積立方式」などがあります。

現在、企業年金制度では、事前積立方式の「平準積立方式」がよく用いられており、また採用する財政方式によって、総給付費用の内、掛金で賄われる部分と積立金の利息で賄われる部分との相対的な割合が異なってきます。