差押え

読み方: さしおさえ
分類: 民事執行

差押えは、「差押」や「差し押さえ」とも表記され、広義には、国家権力によって、特定の有体物または権利について、私人の処分を禁止する行為をいいます。これは、民事訴訟法では、金銭執行の最初の段階で執行機関が目的物について債務者の処分を禁止することをいい、行政法上では、例えば、国税滞納処分の一つとして、滞納者の財産を強制的に取得することをいい、また刑事訴訟法上では、証拠物または没収物と思われる物の占有を強制的に取得する処分(押収の一つ)をいいます。

一般に「差押え」は、日常生活において、様々な情報と接する中で、誰もが一度は聞いたことがある言葉かと思いますが、一方でその意味や内容をよく知らないという人も多いのではないでしょうか? ここでは、一番身近な「民事執行法上の差押え」について、簡単にまとめてみました。

民事執行法上の差押えとは

差押えは、民事執行法上では、私人の金銭債権について、国の執行機関が債務者財産の事実上・法律上の処分を禁止する行為をいいます。これは、債権者債権回収するにあたって、債務者の財産の処分を制限(拘束)する手続きであり、また金銭執行の手続き(差押え→換価→満足)において、最初の段階となっています。

なお、差押えの決定・命令は、裁判所によって行われ、また差押えによって、債務者は差し押さえられた有体物や権利を処分する権能を失い、国家がこれを取得することになります。

民事執行法上の差押えの対象と手続き

民事執行法上の差押えは、差押財産の種類によって、債権(金銭に換価ができる性質の権利)、不動産(土地・建物等)、動産(各種)の3つに大別され、それぞれの手続きは以下のようになっています。

なお、差押えに際して、債務者の総財産の内で、債務者の生存に必要な部分を「差押禁止財産」として、債務者の保護も図っています。

●債権の差押え

債権者は、管轄裁判所に差し押さえる債権を特定して書面で債権差押命令の申し立てを行います。それが認められると、債権差押命令の発令・送達、取り立てという流れになります。

●不動産の差押え

債権者は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所に不動産競売申し立てを書面で行います。それが認められると、競売開始決定・差し押さえ、現況調査・評価、売却基準価額・買受可能価額の決定、物件明細書作成、売却・代金納付、配当という流れになります。

●動産の差押え

現金や貴金属、家財道具など動産を差し押さえる場合には、債権者は管轄裁判所に動産執行の申し立てを書面で行います。それが受理されると、執行官と打合せを行い、実際に執行を行う日時などを決定し、その後、執行官が動産の所在地に赴いて差し押さえを行い、また売却期日を決定し、配当という流れになります。

民事執行法上の差押えのポイント

民事執行法上の差押えは、借金などの返済を怠っている債務者に対して、債権者が強制的に換金可能なものを差し押さえて取り立てを行えるようにする手続きであり、その実施にあたっては、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

・強制執行前に債務者が財産を処分や隠匿してしまうことを防ぐことができる
・差押えに際しては、差し押さえる対象物を債権者が特定した上で裁判所に申し立てを行う必要がある(財産のない債務者に対しては効果がない)
・差押えを実施するには、裁判所の手続費用や弁護士費用などコストがかかる
・差押えで他の債権者が登場することにより、当初の見込みよりも債権回収額が減ることがある
・差押えを行って強制執行手続が始まった後、債務者から異議の申し立てをされることがある