世界恐慌

読み方: せかいきょうこう
英語: Global economic crisis
分類: 恐慌

世界恐慌は、世界的規模で発生する経済恐慌(大恐慌)のことをいいます。広義には、一国において発生した恐慌が次々と他国に波及して世界的規模に広がった状態を指しますが、狭義には、1929年にアメリカ合衆国に端を発して世界各国に波及した大恐慌を指します。

ここでは、世界恐慌について、簡単にまとめてみました。

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世界恐慌の仕組みについて

世界恐慌(大恐慌)は、資本主義が発展して国際分業と貿易に基づくグローバル市場での各国の結びつきが強化される中で、世界的に楽観論が蔓延して経済(景気)が加熱し、遂にはバブルが発生して大きく弾け、資本主義諸国を世界的規模で連鎖的に襲う「過剰生産(過剰投資)恐慌」という仕組みになっています。

ちなみに、世界初の大恐慌は、クリミア戦争が終結した時に穀物価格が急落したことにより、1857年に起こった大恐慌と言われています。

1930年前後に起こった世界恐慌の概要

狭義の世界恐慌は、1929年に米国の戦間期(第一次世界大戦終結から第二次世界大戦勃発までの間)で始まり、1933年にかけて世界に広がった大恐慌のことをいいます。

その発端は、1929年10月24日にウォール街で株式が大暴落した「ブラックサーズデー」で、1930年代に入っても景気は回復せず、米国で企業倒産や銀行閉鎖、経済不況などが一挙に深刻になって、1300万人(4人に1人)の失業者が出ました(この大恐慌は、およそ1936年頃まで続いた)。

そして、米国発の恐慌は、まず西半球の米国の勢力圏からアジアの植民地・従属国に広がり、さらにヨーロッパ諸国へと波及し、全ての資本主義国に深刻な影響を及ぼしました。具体的には、1929年から1932年までに世界の工業生産は半減し、また1932年末には全世界の失業者は5000万人を越えたと推定されています。

なお、各国が恐慌からの脱却策を模索する中で、ファシズム(全体主義)が台頭し、その後、第二次世界大戦が勃発することになりました。

1930年前後に起こった世界恐慌の背景と要因

米国発の恐慌が世界に拡大し、世界恐慌になった背景には、第一次世界大戦後、米国が世界最大の債権国となっており、また世界経済が米国経済に大きく依存する体質になっていたため、米国経済が破綻したことが必然的に世界経済の破綻へとつながりました。

◎1920年代の戦後好況下で、米国において資本・設備への過剰な投資が行われ「生産過剰」に陥った。

◎戦時中に食糧需要が高まり、価格も上昇したため、世界的に穀物増産が行われた。その後、1920年代半ばになると、農産物が供給過剰となって価格が下落する「農業不況」が起こり、農家収入が激減し、米国内の有効需要が低下した。

◎各国とも自国産業を守るため、保護貿易主義に転換したことにより、世界の貿易市場の拡大が阻止された。

◎米国内の有効需要の低下により、企業の生産減少により失業者が増大すると共に購買力も減退し、さらなる生産減少へという悪循環に陥った。

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