指標原油

読み方: しひょうげんゆ
分類: 原油

指標原油は、「マーカー原油」とも呼ばれ、国際的な原油取引の際に、価格決定の基準となるものをいいます。これは、産油国と輸入国の原油取引において、価格指標とみなされるもので、現在、米国産WTI原油、北海ブレント原油、中東産ドバイ原油の3つがあり、その動向は世界中で広く注目されています。

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指標原油の概要

世界の原油取引は、消費地ごとに、北米(NYMEX)、欧州(ICE Futures Europe)、アジア(シンガポール取引所東京商品取引所・・・)といった三大市場が形成されています。

それぞれにおいて、米国産WTI原油、北海ブレント原油、中東産ドバイ原油が「指標原油」として取引され、これらの市場価格(スポット価格・先物価格等)を基準に、品質による価格差などを考慮して、多種多様な原油の販売価格が決定されています。

その中でも、「WTI」と「北海ブレント」については、取引高が大きく流動性が高いこと、また市場参加者が実需や投機を含めて多岐にわたっていることなどから、世界の原油価格形成に大きな影響を及ぼしています。

指標原油の変遷と価格決定

その昔、1970年代から1980年代前半にかけては、国際石油市場において、原油は産油国政府が通告する「政府公式販売価格(GSP)」に基づいて販売されるケースが大半でした。

当時でも、OPEC諸国の生産する原油は130種類以上あり、それぞれに価格が設定されていましたが、原油価格体系の中心にあって、個々の原油の価格決定の際の基準になった原油が「サウジアラビアのAPI比重34度のアラビアン・ライト」で、これが指標原油の役割を果たしていました。

しかしながら、1980年代半ば以降の石油市場における需給緩和基調のもと、原油価格の決定方式は、次第に市場の需給状況をより正確に反映する方式に変化していきました。

そして、時代の変遷の中、世界の主要産油国は、米国・欧州・アジアの消費地ごとに異なる指標原油を選択し、その市場価格を参照して、自国原油の販売価格を設定する「フォーミュラ方式」を採用することになり、現在に至っています。

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