ヘッジファンド

英語名: Hedge Fund
分類: 市場参加者

ヘッジファンド(Hedge Fund)は、様々な取引手法を駆使して、絶対的な収益の追求を目指す私募形式のファンドをいいます。これは、アメリカで生まれ、元々は投資した金融資産のリスクをヘッジする(金融市場の不安定な値動きによって収益が振れるリスクをヘッジする)ような取引に特色があったことから、その名が付けられました。

ここでは、マーケットにおいて、常に注目される「ヘッジファンド」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

ヘッジファンドの概要

ヘッジファンドは、高度なテクニックや理論(モデル)を駆使し、空売り(ショート)やデリバティブなどを効果的に組み合わせ、また株式や債券、通貨、コモディティなど幅広い商品に投資し、いかなる市場環境でもプラスの運用成績を目指しています。

◎世界的には、1990年代にジョージ・ソロス(George Soros)が率いるクォンタム・ファンド(Quantum Fund)が、ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)にポンド売りでイングランド銀行を倒して以降、ヘッジファンドは市場参加者の中で一つの大きな存在となった。

◎世界経済の先行きを見通し、主要国の国債や通貨を中心に運用する「グローバル・マクロ」は、マーケットにおいて一定の存在感がある。

◎日本株ついては、割安な企業の株式をロング(買って)、割高な企業の株式をショート(空売り)する「株式ロングショート」が主流とされる。

ヘッジファンドの仕組み

ヘッジファンドは、限られた投資家が出資する私募形式のファンドで、以下のような仕組みとなっています。

・規制の及ばない、タックスヘイブン(租税回避地域)に設立されることが多い。
・私募形式で、限られた投資家(富裕層や年金基金、機関投資家など)から資金を募集する。
・投資家の投資額(出資金)は、最低100万米ドルなど高額である。
・投資家から信頼を得るために、運用担当者もファンドに高額の出資をする。
・運用の初年度には、出資金が返還されないのが一般的で、また毎年限られた時点でしか出資金が返還されない。
・運用報酬については、固定手数料のほか、値上がり益の20%など成功報酬も設定されている。

ヘッジファンドの主な特色

ヘッジファンドは、多額の資金を運用するファンドの一つですが、以下のような特色があります。

・ベンチマーク(市場平均)を上回る成果を目標とするのではなく、絶対収益(絶対リターン)を目標としている。
・運用対象は、株式や債券、通貨、商品など多様で、また空売りやデリバティブも駆使して運用する(運用対象や運用手法は、ヘッジファンド毎に異なる)。
・国や市場から規制や監督を受けず、運用の自由度が高い。
・レバレッジを利かせたハイリスク・ハイリターンの運用である。
・短期的に大量の資金を移動させるホットマネーの代表格で、時として相場の攪乱要因になる。
・大半のファンドは情報を非公開にしており、実態は不明な点が多い。

ヘッジファンドの投資戦略

現在、ヘッジファンドの取引手法(投資戦略)は、ファンド毎に多種多様になっています。その中でも、高いリスクを取って高いリターンを狙うものが多く、また短期売買を繰り返すものも多く、日々のマーケットに与える影響は非常に大きいです。

|グローバル・マクロ

グローバル・マクロは、世界の金融・経済のマクロ的な視点(予測)から、株式や債券、通貨、商品など、世界各国の様々な金融商品を売り買いする戦略です(投資対象は、特に制限を設けず、先進国・新興国を問わず、世界中の多種多様なもの)。

マーケット・ニュートラル

マーケット・ニュートラルは、市場リスクを限りなくゼロに近づけた上で、市場リスク以外の要因に収益機会を見い出す戦略で、具体的には、ロングとショートを組み合わせることによって、市場全体の価格変動に左右されない安定的な収益の確保を目指します(リスクから中立な状態になれば、純粋に銘柄選択によって運用成績が決まる)。

|ロング・ショート

ロング・ショートは、相対的に割安と思われる銘柄を買い建て(ロング)する一方で、割高と思われる銘柄を売り建て(ショート)するという二つのポジションを組み合わせる戦略です。これは、マーケット・ニュートラルと同じ戦略も含まれますが、ロングまたはショートのどちらかに偏らせて収益を狙う戦略もあります。

|アービトラージ

アービトラージは、値動きの相関性等を基に、二つの商品の価格差に着目する戦略で、例えば、異なる市場において、同一商品の価格が異なるというような市場の非効率性に着目して利益を上げます(通常、流動性および効率性を併せ持つ、狭い市場セグメントを利用)。

レラティブ・バリュー

レラティブ・バリューは、アセット間のミスプライスを利用して、低リスクで利益を追求する戦略です。これは、「マーケットは合理的であり、いずれ適正価格に戻る(価格が正常に回帰した時点で収益を上げられる)」という考え方が基本となっており、株式や債券、通貨、コモディティなどのロング(買い)とショート(売り)を組み合わせことによって生ずる価格差で収益を上げます。

マネージド・フューチャーズ

マネージド・フューチャーズは、株式・債券・金利・通貨のほか、エネルギー・貴金属・農産物といった商品(コモディティ)など、世界中の多様な先物・オプションを投資対象とし、相場の上昇・下降の両局面で利益を追求する戦略です。

|イベント・ドリブン

イベント・ドリブンは、近い将来に予想される、または起きる可能性のある企業の合併や買収、再編、提携などのイベントを利用した戦略で、主なものとして、「M&Aアービトラージ戦略」や「ディストレスト戦略」などがあります。

|M&Aアービトラージ|
M&Aで買収企業が提示した価格と市場価格の乖離に着目し、割高な方を売り割安な方を買うというもの。

|ディストレスト|
本来の価値より著しく安い資産(株式や債券など)に着目した、ディストレスト(破綻)資産に投資するというもの。

|マルチ・ストラテジー

マルチ・ストラテジーは、アービトラージやグローバルマクロ、イベントドリブンなど、複数の投資戦略を組み合わせた(採用した)戦略です。