人民元

読み方: じんみんげん
英語: Renminbi
分類: 通貨(中国)

人民元は、「中国元」とも呼ばれ、世界第二位の経済大国である中華人民共和国が発行する通貨をいいます。

長い間、人民元の相場(為替レート)を米ドルと完全に連動させ、ほぼ同じ水準に固定していましたが、2005年7月に人民元改革が行われ、管理変動相場制へと移行しました。また、同時に通貨バスケット制を導入し、以降、段階的に元の変動幅を拡大してきました。

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人民元の基本事項と特徴

人民元の基本事項と特徴は、以下のようになっています。

人民元の基本事項

・通貨表示:CNY=Chinese Yuan
・通貨通称:Renminbi(レンミンビー)
・通貨発行:中華人民共和国
・金融政策:中国人民銀行

人民元の主な特徴

・為替管理と資本取引規制がある
・中国の通貨当局が介入でレートを維持している
・相場の変動を一定の範囲に制限する管理通貨制度を採用している
・毎朝発表する基準値が人民元の過度の変動を抑える役割を果たしている
・上海外国為替市場は、通貨当局の厳しい管理下に置かれている
・中国本土と海外市場では、元レートに乖離が生じている
・NDF(ノン・デリバラブル・フォワード)を利用している

人民元の通貨制度

中華人民共和国では、管理変動相場制により、人民元の変動を一定の範囲に制限し、相場の急激な変動によって、輸出入など経済への悪影響が出ないように日々調整を図っています。

具体的には、中国人民銀行(中央銀行)が毎日午前9時15分頃に取引の目安となる対ドル相場である基準値を発表し、銀行は本基準値の上下2%以内でしか人民元の売買ができません(基準値については、2015年8月から前日終値を参考)。

人民元の取引状況

人民元は、中国本土の居住者は国内(オンショア)市場、中国本土外の居住者は国外(オフショア)市場でしか、原則取引ができません。

現在、この二つの市場は分断され、為替レートも二つ存在し、オンショア市場(上海外国為替市場)で流通するものを「CNY」、オフショア市場(香港・シンガポール・英国など)で流通するものを「CNH」と呼びます。

◎海外市場で入手した人民元を中国本土に持ち込むことは制限されているため、両市場の元レートには乖離が存在する。

◎CNYは、貿易など実需に基づく取引に限られるほか、1日の変動幅も基準値の上下2%に制限されるなど、多くの規制が課せられている。

◎CNHは、中国国内の規制が適用されず、市場参加者は自由に売買できるため、中国本土に比べてより市場実勢に近いレートとされる。

※上海市場への取引参加者は通貨当局の認可が必要で、全ての外為取引は通貨当局への報告が義務付けられている。
※通貨当局は、銀行の人民元の持ち高に対して、一定に制限を課している。