円建て外債

読み方: えんだてがいさい
英語: Samurai bond
分類: 非居住者発行債

円建て外債(円建外債)は、「サムライ債」とも呼ばれ、海外の発行体(非居住者)が日本の投資家を対象に、日本国内市場で円建てで発行する債券をいいます。これは、日本国内で発行される国内債であるため、日本法を準拠法とし、また金融商品取引法に則った開示書類を作成し、原則として債券の管理会社を設置することになっています。

現在、日本は、世界の債券市場の中で、海外の発行体にとって、数日間で巨額の資金を調達できる数少ない市場の一つであり、また低金利であることも大きな魅力となっています。

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円建て外債の発行について

円建て外債の発行体には、国際機関や外国の政府・政府系機関、外国の民間企業などがあり、1970年にアジア開発銀行が野村證券を主幹事として発行した60億円の債券が第一号となりました。

1970年以降、マーケット環境によって、何度か発行が多くなった時期がありましたが、2007年の中頃からサブプライム問題に端を発した世界的な信用収縮により、海外の企業が資金調達先を拡大する必要性に迫られ、円建て外債の発行額が一時大きく増加しました。

しかしながら、2008年-2009年に世界的な信用収縮がさらに深刻化したことに伴い、円建て外債の市場も一時崩壊(麻痺)しました。その後、危機の収束を経て、今日では回復しています。

円建て外債の種類について

円建て外債には、利払い・元本ともに円建ての債券の他に、「デュアル債」や「リバース・デュアル債」などもあり、利金償還金については必ずしも両方とも円である必要はありません。

・円建ての債券:利払い・元本ともに円
・デュアル債:利払いが円、元本償還が外貨
・リバース・デュアル債:利払いが外貨、元本償還が円

円建て外債の投資について

円建て外債は、通常の外国債券に投資する場合とは異なり、為替変動リスクがない上、国内企業などが発行する同等の格付けの債券と比べて利率が高めになる傾向があります。その理由は、将来、調達資金を自国通貨に交換する際に得られるであろう金利収入を利率に上乗せしているからです。

また、リスク面については、発行体が海外にあるため、信用情報や財務情報などを相対的に入手しにくい点に注意が必要です。そのため、少なくとも格付け機関の発表している格付けを事前に確認するなど、積極的に情報収集することは大切です。

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