銀行同盟

読み方: ぎんこうどうめい
英語: European Banking Union
分類: EU

銀行同盟は、欧州連合(EU)において、域内の銀行の監督や救済、破綻処理、預金者保護の機能などを統合する仕組みをいいます。

欧州安定メカニズム(ESM)と並ぶ、銀行危機解決の切り札とされるもので、2012年12月に欧州理事会で創設が合意され、「単一監督メカニズム(SSM)」、「単一破綻処理メカニズム(SRM)」、「預金保険制度(DGS)」の3つが大きな柱となっています。

また、銀行同盟の設立にあたり、ユーロ圏の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)に「単一の監督権」が付与されたことで、ECBはユーロ圏全ての国の銀行の監督責任を直接または間接的に持ち、規定の自己資本要件に違反した、あるいは違反する危険性のある銀行に対して早期に介入し、是正措置を要求できるようになりました。

※ユーロ未導入国であっても、希望すれば銀行同盟への参加は可能。

目次:コンテンツ構成

銀行同盟の導入と効果

銀行同盟は、世界金融危機や欧州債務危機を教訓に、安定した単一通貨市場のための取り組みとして導入されたもので、域内の銀行が危機に陥った場合、公的資金によって救済するのではなく、株主や債権者などの当事者の負担で救済することになります。

これにより、税金の使途が健全化し、銀行も安定することにより、欧州市民は緊縮財政に苦しむことなく、将来の不安から解放され、また市場に資金が回り、経済は活力を取り戻すことになります。

銀行同盟の構成(3つの柱)

銀行同盟は、EU全加盟国の強固な金融の枠組みを構築するもので、「単一監督メカニズム(SSM:Single Supervisory Mechanism)」、「単一破綻処理メカニズム(SRM: Single Resolution Mechanism)」、「預金保険制度(DGS:Deposit Guarantee Scheme)」の3つが大きな柱となっています。

単一監督メカニズム(SSM)

単一監督メカニズム(SSM)は、ECBがユーロ圏内の銀行に対する単一の監督権を持つという仕組み。従来の金融政策運営と新たな銀行監督任務を明確に分離するため、ECB内に銀行監督理事会が設けられ、運営委員会、監督の意思決定に対する権限を持つ政策理事会、および調停員を配置している。

単一破綻処理メカニズム(SRM)

単一破綻処理メカニズム(SRM)は、危機の際に迅速な意思決定と破綻処理を行い、他のユーロ圏の国々への伝播を防ぐ仕組み。一元的に意思決定を行うことにより、各国で破綻処理を行うよりも効率的な対処が可能となり、金融への悪影響を最小化することができる。

預金保険制度(DGS)

預金保険制度(DGS)は、EU共通のルールとして、各国が預金者一人あたり10万ユーロまで保護するもので、銀行破綻から7日以内に支払うことが義務付けられている。

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