フィデューシャリー・デューティー

英語: Fiduciary duty
分類: 概念

フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary duty)は、直訳は「受託者の忠実義務」で、信認を受けた者が履行すべき義務をいいます。

具体的には、英米で幅広い概念として用いられる、他者の信認を得て一定範囲の任務を遂行すべき者を指す「fiduciary(フィデューシャリー):受託者」が負う様々な「duty:責任」を意味します。

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フィデューシャリー・デューティーの概念

フィデューシャリー・デューティーは、元々は、信託受託者委託者および受益者に対して負う義務を指す概念であり、英米法においては、広範な裁量権を有し、財産の処分や管理を行う信託の受託者が受益者の利益を第一に考え、裁量権の濫用を防止する法理が判例の積み重ねにより形成されたものです。

そして、今日では、信託の受託者以外にも、弁護士や会計士、医師など高い専門能力と裁量権をもって他者のために働く者にまで拡張されています。

フィデューシャリー・デューティーへの取り組み(日本)

日本では、2014年9月に公表された金融庁の「平成26事務年度金融モニタリング基本方針(監督・検査基本方針):資産運用の高度化」の中で、フィデューシャリー・デューティーが以下のように記されたことにより、金融業界で広く知られるようになりました。

「商品開発、販売、運用、資産管理それぞれに携わる金融機関がその役割・責任(フィデューシャリー・デューティー)を実際に果たすことが求められる」(文章中の本用語の注釈は、「他者の信認を得て、一定の任務を遂行すべき者が負っている幅広い様々な役割・責任の総称」となっていた)

その後、2017年3月に公表された金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」でもフィデューシャリー・デューティーに触れられており、今日では、各々の金融機関において、その取組方針が定められるようになっています。

なお、フィデューシャリー・デューティーの具体的な義務については、説明義務や分別管理義務忠実義務(利益相反防止義務)、善管注意義務などが挙げられます。

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