VaRショック

読み方: ばりゅーあっとりすくしょっく
分類: 債券暴落

VaRショックは、日本において、2003年に長期金利(10年物利回り)が史上最低の0.430%まで下げた後、わずか2カ月で約1%上昇したことによる、歴史的な債券暴落のことをいいます。これは、当時、国債入札の結果が市場予想よりやや悪かったことをきっかけに、債券市場において、"売りが売り"を呼ぶ展開となり発生したもので、その背景には「VaR」という手法がありました。

リスク管理手法の「VaR」

VaRとは、「Value at Risk(バリュー・アット・リスク)」の略で、統計的手法を使って、市場リスクの予想最大損失額を算出する指標をいいます。これは、現在保有している資産を、将来のある一定期間保有すると仮定した場合に、ある一定の確率の範囲内(信頼区間)で、マーケットの変動によって、どの程度の損失を被る可能性があるかを計測したものです。

1990年代後半以降、VaRは、銀行などの金融機関の標準的なリスク管理手法となり、債券においては、直近の金利変動から発生しそうな損失を推計し、金利が急上昇した場合には、保有する債券の含み損の拡大を防止するために強制的に売却する仕組みになっています。

VaRショックの発生と債券バブルの注意

本来、「VaR」は、リスク回避するためのものですが、多くの金融機関が同じような手法を使っているため、一つの金融機関が債券を売り始めると、他の金融機関も同じような行動に出がちとなり、"売りが売り"を呼ぶ展開となることがあります。

実際に2003年のVaRショックでは、一部の銀行の売りが金利上昇を招き、さらに他の銀行が売る負の連鎖が発生し、債券の暴落を招きました。当時、大手行は、量的緩和政策の下で短期ゾーンの国債投資の収益性が低下する中、中長期ゾーンの国債投資にシフトし、保有債券の平均残存期間を延ばしていたため、本危機では、ボラティリティの急上昇を受けて、5~10年ゾーンのリスク量が大きく拡大することになりました。

一般に1%を割る超低金利が長期化すると、"債券バブルの状態"になることがあり、金利反騰時の影響が大きくなりやすいです(金利が1%上昇すると債券価格が暴落し、金融機関に多額の損失が発生する)。昨今の日本においては、巨額の長期債務残高が改善されない中、財政不安が意識されて金利が反転(急上昇)するリスクが常にあり、いつかまた、「VaRショック」の再来は十分にありえます。