有価証券

有価証券は、財産権を表示する証券の総称で、権利の移転・行使が原則として証券でなされることを要するものをいいます。

経済社会において、権利と証券の結合により権利行使を円滑・安全にすると共に、権利の流通性を高めるための仕組みであり、代表的なものとして、株式や債券、手形、小切手、船荷証券、倉庫証券、貨物引換証などが挙げられます。

ここでは、有価証券の概要について、簡単にまとめてみました。

目次：コンテンツ構成

• 有価証券の分類
• 日本における有価証券

有価証券の分類

有価証券は、表章する権利の種類、表章する権利の内容、表章された権利者の表示方法により、以下のように分類されます。

「表章する権利の種類」による分類

有価証券は、表章する権利の種類により、「債権証券」、「物権証券」、「社員権証券」に分類されます。

「表章する権利の内容」による分類

有価証券は、表章する権利の内容により、「資本証券」、「金銭証券」、「物品証券」に分類されます。

「表章された権利者の表示方法」による分類

有価証券は、表章された権利者の表示方法により、「記名証券」、「指図証券」、「無記名証券」、「選択無記名証券」に分類されます。

日本における有価証券

有価証券は、日本において、広義には、財産的価値を有する私法上の権利（財産権）を表章する証券を意味することが多いです。また、狭義には、金融商品取引法に定められている、国債や地方債、社債、株式、投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券などを意味することが多いです。さらに、その他に、印紙税法でも、有価証券が規定されています。

金融商品取引法の有価証券

有価証券は、金融商品取引法の第2条1項で、以下のようなものが定義されています。

・国債証券
・地方債証券
・特別の法律により法人の発行する債券
・資産の流動化に関する法律に規定する特定社債券
・社債券（相互会社の社債券を含む）
・特別の法律により設立された法人の発行する出資証券
・協同組織金融機関の優先出資に関する法律に規定する優先出資証券
・資産の流動化に関する法律に規定する優先出資証券、新優先出資引受権を表示する証券
・株券、新株予約権証券
・投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資信託・外国投資信託の受益証券、投資証券、投資法人債券、外国投資証券
・貸付信託の受益証券
・資産の流動化に関する法律に規定する特定目的信託の受益証券
・信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券
・法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形のうち、内閣府令で定めるもの
・抵当証券法に規定する抵当証券　他

印紙税法の有価証券

有価証券は、印紙税法においては、財産的価値のある権利を表彰する証券であって、その権利の移転、行使が証券をもってなされることを要するものと規程されています。

＜有価証券に該当するもの（以下例）＞

株券、国債証券、地方債証券、社債券、出資証券、投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券、特定目的信託の受益証券、受益証券発行信託の受益証券、約束手形、為替手形、小切手、郵便為替、倉荷証券、船荷証券、社債利札、商品券、各種のプリペイドカード