資本バッファー

読み方: しほんばっふぁー
英語: Capital buffer
分類: 金融規制

資本バッファーは、不測の事態に対して、金融機関が資金繰りが逼迫することに備え、最低所要比率以上の自己資本の確保を促すために、自己資本の最低所要比率に加算されるものをいいます。

現在、資本バッファーの枠組みの適用対象については、国際統一基準行となっています。

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資本バッファーの導入と目的について

資本バッファーの概念は、2009年4月のロンドンサミットの「金融システムの強化に関する宣言」において、世界金融危機の反省をもとに示されました。

健全性規制強化の一環として、金融機関に対して最低所要自己資本を上回る十分な量の資本バッファーの積立を求めるもので、不況時には、これを取り崩して損失吸収にあてることにより、景気の減速期でも金融機関の金融仲介機能を維持し、景気変動増幅効果を抑制することを基本的な目的としています。

資本バッファーの構成について

資本バッファーは、「資本保全バッファー」、「カウンター・シクリカル・バッファー」、「G-SIBsバッファー」、「D-SIBsバッファー」といった4種類のバッファーを包含するものです。

現在、バーゼル3では、資本バッファーの内容として、(1)全ての金融機関に対して一律に積増しが求められる固定的な「資本保全バッファー」、(2)過度な信用供与が行われていると各国当局が判断した場合に、当該国の金融機関に対して一律に積増しが求められる可変的な「カウンター・シクリカル・バッファー」が規定されています。

さらに、資本バッファーに上乗せされる「資本サーチャージ」として、(3)G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)に対して設定される「G-SIBsバッファー」、(4)D-SIBs(各国当局により国内のシステム上重要な銀行)に対して設定される「D-SIBsバッファー」が規定されています。

資本バッファー規制の導入について

資本バッファー規制は、国際統一基準行を対象としたもので、資本バッファーが所要の水準を下回った場合に、資本バッファー比率に応じて、利益分配の量的制限措置(社外流出制限措置)が課せられる規制となっています。

具体的には、最低所要のCET1比率(4.5%)との距離に応じ、4つの区分が設けられ、配当や自社株買い、賞与支払いなどの社外流出行為に制限が加えられることとなります。

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