現代貨幣理論(MMT)

読み方: げんだいかへいりろん
英語: Modern Monetary Theory(MMT)
分類: 理論

MMTは、"Modern Monetary Theory"の略で、日本語で「現代貨幣理論(現代金融理論)」と呼ばれ、インフレにならない限り、財政赤字の膨張は問題ないとする経済理論をいいます。

通貨の発行権限を持つ国(政府)は、自国通貨建て債務の返済に必要な資金をいくらでも調達できるので、財政赤字(借金)を膨らませても問題ないとする考え方となっており、2018年頃から米国の民主党左派が「MMT」を支持して注目されるようになりました。

一方で、MMTは、時として、財政破綻や高インフレのリスクを軽視することから異端の学説と言われており、欧米の主流派の経済学者や中央銀行の関係者などは、MMTに否定的な見解をしています。

目次:コンテンツ構成

現代貨幣理論(MMT)の構築

MMTは、ハイマン・ミンスキー、ワイン・ゴッドリー、アバ・ラーナーといった先駆的な経済学者のアイディアをもとに、1990年代にオーストラリアのビル・ミッチェル教授、米国のランドル・レイ教授、ステファニー・ケルトン教授および投資銀行家でファンドマネージャのウォーレン・モズラー氏らにより、経済運営の手法(理論)として開発されました。

現代貨幣理論(MMT)の概念

MMTは、巨額の財政赤字や債務残高を許容することに大きな特徴があり、またインフレの兆候が出れば政府の支出抑制や増税などで制御できると考え、景気や雇用の拡大に向けた積極財政を主張しています。

一般に主流派の経済学では、過度の財政赤字は、国の信認を傷つけて高インフレを招くとされるのに対して、MMTでは、財政赤字の拡大では必ずしも景気悪化を招くとは限らず、マネーサプライ増加によるインフレ圧力がかかるのみとしています。

<MMTのコアとなる概念>

・自国通貨を持つ国家の政府は、純粋な財政的予算制約に直面することはない
・全ての経済および政府は、生産と消費に関する実物的および環境上の限界がある
・政府の赤字はその他全員の黒字である(金融制度の中では黒字と赤字は足せばいつもゼロになる)

現代貨幣理論(MMT)の主唱者

現在、MMTの主唱者の一人にニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授がおり、ケルトン教授は「完全雇用やインフレーションを実現するために政府予算や財政赤字を積極的に活用すべき」と主張し、「巨額の政府債務を抱える日本(日本政府と日銀)がMMTの正しさを実証してきた」と主張しています。

また、米国の左派政治家では、バーニー・サンダース上院議員(無所属)やアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党)などが「MMT」を支持しています。

※日本政府は、財政赤字容認論としてMMTを否定すると共に警戒。

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