自己資本

読み方: じこしほん
英語: Tangible net worth
分類: 財務諸表/貸借対照表

自己資本は、「内部資本」とも呼ばれ、企業の資金調達を分類する概念では、企業の総資本のうち、資本主(出資者)に帰属する部分をいいます。また、借入金や社債など外部から調達した資本である「他人資本(負債)」と対立する概念では、企業が自社内部で調達した資本をいいます。

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自己資本の注意点

現在、「自己資本」という用語は、貸借対照表(B/S)では使われず、また法的な認識にはいくつかあり、財務や経営などでは曖昧に使われることが多いので注意が必要です。

◎企業会計においては、2006年にB/Sで「資本の部」が「純資産の部」に変更されて以降、「自己資本」という概念が定義されていないため、「株主資本=自己資本」という関係は成り立っていない。

◎企業経営においては、「自己資本」の認識は基本的に変わっておらず、負債とは異なり、返済の義務がないため、経営を安定させる上で、その充実は常に重要である。

自己資本の概念の変遷

2006年の会社法の施行以前は、自己資本は「資本の部」の金額を指し、「資本=自己資本=株主資本」という関係が成り立ち、資本金法定準備金剰余金などから構成されていました。

2006年の会社法の施行後は、「資本の部」に代わり「純資産の部」となったことにより、その構成項目が変わったため、自己資本の定義が曖昧になりました。

実際、自己資本を純資産を指して使うこともあれば、株主資本を指して使うこともあります。また、自己資本比率の計算の際には、新株予約権と非支配株主持分は含まないので注意が必要です。

貸借対照表における自己資本の認識

財務諸表の貸借対照表(B/S)においては、「自己資本」という用語は出てきませんが、通常、自己資本の認識として、以下の3つがあります。

(1)自己資本=純資産(「資産の部」と「負債の部」の差額)

(2)自己資本=株主資本+評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

|評価・換算差額等|
個別貸借対照表の項目で、その他有価証券評価差額金、繰越ヘッジ損益、土地再評価差額金などで構成。

|その他の包括利益累計額|
連結貸借対照表の項目で、その他有価証券評価差額金、繰越ヘッジ損益、土地再評価差額金、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額などで構成。

(3)自己資本=株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)

この3つの中で、会社法の基本的な認識では、(2)の「自己資本=株主資本+評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)」と説明されることが多く、この場合、「株主持分」と呼ばれることもあります。

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